いよいよモジュラーデザインの核心に入る。モジュール化を行う上で重要になるのは、事業戦略に基づいて売り上げを最大化するための「製品ミックス」だ。この製品ミックスを確立する際、どのようなことを考慮すべきなのかを解説する。(日経ものづくり)

 前回は、モジュール化活動の前にやっておかねばならない準備活動を紹介した。今回から紹介する内容が、本格的なモジュール化活動である。初めに「製品ミックス」を確立する必要がある。

製品ミックスとは何か

図1●製品ミックス
実践 モジュラーデザイン』を基に作成。

 製品ミックスとは、図1のような、企業が持つ製品ラインと製品アイテムの組み合わせをいう。製品ラインとは価格や基本構造などの相違によって分類した製品の大まかな種類のことであり、製品ラインアップとも呼ばれる。これに対して、製品アイテムとはユニット/コンポーネント/オプションレベルのバリエーションのことである。

 企業は、数年先の在るべき製品ミックスを戦略的に決定し、現状の製品ミックスと照合して新規開発する製品と廃止する製品を明確にした上で、数年先の製品ミックスに到達するための製品移行計画を策定・実行する。

 製品ミックスを確立するには、初めに製品革新を行う。製品革新の手法は、VE、TRIZ(発明的問題解決法)、商品企画七つ道具などさまざまなものがある。

 次回、MD式VEを詳解する。

 次に、プラットフォームの標準化を行う。プラットフォームの定義は「機能ユニット一式を搭載した架台」である。エネルギ/物質/信号を変換する機能を持つ製品であればどんな製品でもプラットフォームは存在する。プラットフォームの標準化とは、機能ユニット間の相対位置関係を標準化することであるが、製品の方式が異なればプラットフォームも異なるレイアウトになることが多いので、一般的に複数の標準プラットフォームを必要とする。

図2●単機能製品の製品ミックス整備
実践 モジュラーデザイン』を基に作成。
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 最後に、革新した製品と標準化したプラットフォームを基に、数年先のあるべき製品ミックスを検討し、決定する。モータ、ポンプ、コンプレッサなどの「単機能製品」の製品ミックスは、図2に示すように、製品がカバーする機能範囲を示した図で表せる。図2の左側は現状のラインアップであり、小さな能力の機種群は重複が多い一方で、大きな能力の機種群は顧客要求から乖離しているため時に顧客を取り逃がしていた。

 図2の右側は、ある等比数列を特性Aに適用した新たなラインアップである。「重複」と「乖離」が解消されて規則正しく変化する機種群となった上、機種数は12から9に減った。3機種分の部品がいっぺんに減り、かつ近隣の機種間で部品の共用化が可能になったので、部品種類を大幅に削減するとともに、これまで取り逃がしていた顧客をしっかり取り込めるようになった。現状のラインアップでは“最大の機種数で最少の顧客を獲得”していたのに対し、製品ミックス整備後は“最少の機種数で最大の顧客を獲得”できるようになったのである。

図3●方式展開表による製品ミックス
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 自動車/飛行機/電気製品などは単機能製品を幾つか寄せ集めた複合機能製品であり、図2のような単純な図で表しきれないので、図3のような「製品方式構成」と「製品仕様値」の組み合わせで製品ミックスを表す(図3の色を付けた部分)。「製品方式構成」が製品の基本構造を決定するので「製品ライン」に相当し、製品仕様値が製品を製品方式単位で相似形的にバラエティーを持たせる「製品アイテム」に相当する。このような製品ミックス表を基に、近いうちに織り込む予定の「製品革新アイデア採用製品」、「プラットフォーム共通化可能製品」、「仕向地展開」、「競合他社保有製品」、「自社現在保有製品」などを追記し、数年後(図3の場合は5年後)に展開すべき製品ミックスを決定する。このような製品ミックス表を作成すると、製品ミックスを検討する上で必要なデータが一望的に見えるようになり、社内で製品ミックス戦略を検討する上でかみ合った議論ができるようになる。