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「電子ペーパー」は、紙やディスプレイを単に置き換えるものではなく、“第3のメディア”と捉えることができる。ただ、その可能性と実現への道を探るのは容易ではない。現状からの外挿で未来を予測するのでは、何も浮かび上がってこない可能性が高いからだ。そので、ユーザーや社会にとって望ましい、あるべき未来の姿を描き、そこから現実を見た時のギャップで課題を明らかにする手法が有効になる。連載の第2回目は、ユーザーの視点で描いた電子ペーパーの未来について、電子ペーパーコンソーシアムの小清水実氏(富士ゼロックス)に解説してもらう。(Tech-On!)


 米Sony Electronics社の「Sony Reader」や米Amazon.com社の「Kindle」が切り拓いた電子書籍、電子ブックの市場に、米Apple社の「iPad」が加わり、本の世界に本格的なデジタルの波が到来した。5年前には実質的に存在しなかった電子ペーパーの市場が、電子書籍というアプリケーションとの出会いによって、今や1000億円を超える規模に成長している。その応用範囲は、今後さらに産業分野やオフィス分野に広がる動きも出始めている。

ユーザーの視点で電子ペーパーの未来を描く

 「電子ペーパーコンソーシアムRG3(メディア論研究グループ)」では、電子ペーパーを紙やディスプレイの置き換えではない“第3のメディア”と捉え、その可能性と実現への課題を研究してきた。研究のアプローチとしては、現状からの外挿で未来を予測するのではなく、ユーザーや社会にとって望ましい、あるべき未来の姿を描き、そこから現実を見た時のギャップで課題を明らかにするバックキャスティングという手法を用いている。

 そのような未来を描く手がかりにしているのが、2007年から毎年実施している「電子ペーパーアイデアコンテスト」である。電子ペーパーに携わる技術者や事業者は、概して実現性や事業性に発想をしばられ、飛躍したアイデアを得にくい。一方、なんの制約にもとらわれない一般ユーザーは、電子ペーパーという言葉の持つSF的な響きから、豊かな創造力を総動員し、夢や期待を素直にカタチに表してくれる。それらのアイデアから得られるインスピレーションは、斬新な商品やサービスを生むイノベーションのトリガーになる可能性がある。第1回のコンテストでは、屋根や壁を全て電子ペーパーで覆うという奇抜なアイデアが提案されたが、我々はそれらから、環境自体がメディア化する「電子ペーパーラッピング革命」という一つのビジョンを導くことができた。

 2010年の第4回コンテストでは、「Kindle、iPadを超えるNEXT BOOKは何か!!」をテーマに掲げ、市場に流通し始めた電子書籍、電子ブックのもっと先にある未来の本のアイデアを募集した。羊皮紙時代から考えると約1500年の歴史を持つ「本」という概念のパラダイムを、良い意味で壊してくれるような、尖ったアイデアを期待した。