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図1 マルチタッチジェスチャーの操作説明
図1 マルチタッチジェスチャーの操作説明
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図2 WebサイトをSafariで閲覧した場合
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図3 ピンチ・アウトで図2のWebサイトを拡大
図3 ピンチ・アウトで図2のWebサイトを拡大
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――前編はこちら――

 Lionのマルチタッチジェスチャーでは、最初にタッチ・パッドに触れた指の本数を検知し、本数に応じた「動作モード」に切り替わる。つまり、指の本数がトリガーとなっている。  一度動作モードが確定されると、その後の指の本数はチェックされていないようだ。基本的に、最初に触れた指の本数によって、ユーザーがこれからどのような操作をしたいのかを判別するようになっている。

指3本が触れた場合は、左右と上下のどちらに指が動いたかで、さらに動作モードが変わる。前編で述べたように、左右の動きでフルスクリーン表示したアプリケーションの切り替えモード、上下の動きで「Mission Control(ミッションコントロール)」の動作モードになる(図1)。

指3本の場合、左右の動きと上下の動きで操作フィードバックが異なる。左右方向の場合、指を動かし始めてからすぐに指の動きに追随して、素早く画面表示が切り替わる。画面のアニメーションによって、指の動きにあたかもぴったりと連動しているかのように見せている。

 ほかの電子機器ならば、あるしきい値を設けて、そのしきい値をだいぶ超えてから、画面表示を切り替えるようにする。フルスクリーン表示したアプリケーションの切り替えは、指の動きに完全に追随して実行されないと、操作感が悪くなるとAppleは判断したようだ。

 一方、上下の動きの場合は、上方向に少しでも指を動かすとミッションコントロールになる。左右の場合のように、指の動きに常に追随するような動作ではない。つまり、左右方向と上下方向とでは、指の動きに対してフィードバックを始める“しきい値”が異なる。これは、上下と左右で割り当てられた操作の意味合いが異なるからだとみられる。上下はミッションコントロールという“俯瞰”することを主眼に、左右はページをめくるようにパラパラと見ることを主眼に置いている。

 フィードバックを始めるしきい値は、操作性を大きく左右する。ユーザーにしきい値を意識させなければ、違和感を覚えない快適な操作を実現できる。

 なお、指3本でタッチ・パッドに触ったあと、3本の指が触れたまま指1本だけを動かすとポインタが動く。これは、ユーザーが手の横側をタッチ・パッドに付けたまま、指1本を動かしてポインタを操作する、といった利用状況を想定したものだ。タッチ・パッドの面積が広い場合、手のほかの部分が触れないように指1本だけをタッチ・パッドに触れさせて、ポインタを操作するのは疲れるためである。

ブラウザ内の拡大・縮小がスムーズに

 3本指による操作だけでなく、ほかの操作でもユーザーの動作に追随して画面表示が変化するようにLionは設計されている。例えばWebブラウザ「Safari」における画像の拡大・縮小がそれに相当する。

 拡大は二本の指の距離を広げる「ピンチ・アウト」で、縮小は二本の指の距離を縮める「ピンチ・イン」で行う(図2,3)。Lionからはこのピンチ・イン/アウトによる画像の拡大・縮小を、iOSと同じようにリニアに実行できるようになった。  Mac OSの前バージョンである「Snow Leopard」でもSafari内の映像を拡大・縮小ができたが、その切り替えはリニアではなく、カクカクとした動きだった。

動画で操作法を説明

 Snow Lepardでも、マルチタッチジェスチャーで基本動作が可能だったが、Lionではその適用範囲が広がった。このためユーザーが覚えなくてはならないルールが増えた。しかもタッチ・パネルとは異なり、タッチ・パッドによる操作は表示部と離れている。画面に表示する情報によって操作法を提示できるタッチ・パネル搭載機と比較して、操作法をあらかじめ覚えておかなくてはならない。

 そこで、Lionではマルチタッチジェスチャーに関して、動画による説明がある。これは、マルチ・タッチ機能に対応した「Magic Mouse」から導入されたものである。

 Lionでは動画説明を入れた分、文字による説明を必要最低限にしている。日本のメーカーだと文字を数多く利用してきちっと説明する傾向が強い。加えて、動画ではなく静止画を用いる場合が多い。Lionは利用できる指の本数が増えたため、動画による説明の効果がいっそう出ている。

外付けモニターとの連携に難

 Lionでは、タッチ・パッド上のジェスチャーによる“間接的”な操作を、タッチ・パネルのような“直接的”な操作に近づけようと悪戦苦闘している様子がみえる。それだけに違和感を覚える箇所がいくつかある。

 例えば、ノート・パソコンにモニターを外付けした場合、操作に戸惑うことがある。Lionは1画面の利用を前提に設計されたものだからだ。モニターを外付けして2画面で操作するには無理が多く、製品水準とはいえない代物である。むしろ“デモ機”に近い。

 特に、フルスクリーンで画面を切り替える場合に違和感を覚える。指を左右にスワイプして、フルスクリーンで画面を切り替えられることになると、ユーザーは仮想的に、各スクリーンがパソコン画面の左右にある、と考えてしまう。

 例えば、ノート・パソコンの右側に外付けモニターを配置した場合、パソコンのタッチ・パッド上に置いた指を左にスワイプするとモニターに映っていた映像がノート・パソコンに表示される、とユーザーは思い込む。だが、実際にはこのように振舞うことはない。この点に違和感を覚えてしまうのだ。