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 今回は第1弾として9種類の家電製品の上位機種への展開にとどめたが,今後はあらゆる家電製品の下位機種にまでこうした開発方針を広げていく考えだ。「モノづくりの基準を高齢者にシフトさせる。家電製品にとどまらず,三菱電機の事業全体への横展開も考えていく」(同社 役員理事 リビング・デジタルメディア事業本部 副事業本部長 リビング・デジタルメディア技術部長の梅村博之氏)と意欲を見せる。同氏は高齢者市場について,「『エコ(環境)』に続いて,日本が世界を先導していける分野。海外勢に対する差異化の礎になる」とみる。

 ただし,日本が世界を先導できる成長市場としての期待が高まる一方で,「国として明確な成長戦略を持って進めていかなければ,足をすくわれかねない」(高齢者市場の研究を続けてきたニッセイ基礎研究所 社会研究部門 副主任研究員の青山正治氏)との声もある。単に実験場となるだけで,“果実”を根こそぎ持っていかれる事態は避けるべきとの指摘である。

 例えば,日本の後を追って今後,急激に高齢化が進む韓国では,高齢者ビジネスのノウハウなどを自国で蓄積した後,「海外輸出に打って出ることを政策的に推進している」(ITジャーナリストの趙章恩氏)という。国内企業にとってのせっかくのチャンスをみすみす逃さないためにも,官民の双方で明確な戦略を持って取り組むことが必要になりそうだ。