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 一方、これまで画一的だった医療/ヘルスケアをパーソナル化していくために重要なポイントは、「個人」を識別することである。それには、大きく二つの手段がある。一つは、遺伝子レベルで個人の差を識別すること。もう一つは、健康状態や病歴などを集約・一元管理することで個人の情報を識別することである。

 このうち、遺伝子レベルで個人差を識別できる環境が整えば、例えば「オーダーメード医療(あるいはテーラーメード医療)」ともいわれる、個人の体質などに応じたきめ細かい医療/ヘルスケアが可能になる。個人の体質の違いは,DNAの塩基配列の違いなどと密接な関係があるからだ。病院に行くと1滴の血液を採取し、すぐに出てくる分析結果を基に治療方針を決定─。こうした世界が現実味を帯びてくる。

 それを実現する技術の一つが、DNAチップである。東芝など複数のメーカーが開発している。同社は既に、HPV(ヒト・パピローマ・ウイルス)のウイルス型判別用などにDNAチップを実用化しているが、今後さまざまな用途で普及させていくために「低コスト化を進めている段階だ」(同社 部品材料事業統括部 DNAチップ事業推進統括部 部長の二階堂勝氏)という。

岐阜で先行事例

 健康状態や病歴などの情報を集約・一元管理して個人を識別することも、医療/ヘルスケアのパーソナル化に欠かせない。いわゆる「EHR(electronic health record)」とも呼ばれる、こうした仕組みが構築されれば、例えば、どのような場所にいても自分に合った最適な医療/ヘルスケアを受けることが可能になる。現在、政府が進めている「どこでもMY病院」構想も、その一つの取り組みと位置付けられる。

†どこでもMY病院=全国どこからでも個人が自らの医療/健康情報を電子的に管理・活用できるようにする構想。医療機関や健診機関、家庭などに散在している個人の医療/健康情報を、一元的に収集・保存・活用できるようにすることで、過去の診療情報に基づいた医療を受けられたり、個人が健康管理に取り組める環境を整えたりすることを狙う。遅くとも2013年までには、調剤情報管理など一部のサービスを開始したい考え。