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 例えば,フィレット部などに応力が集中すると予想される場合は,そこだけに細かなメッシュを設ける(図4)。理想的にはフィレット部を6分割するくらいが望ましいだろう。前述した局所的な要素分割の設定は,こうした場合に利用する。ただし,この分割の度合いもケースバイケース。4分割,6分割,8分割など,何種類か計算した上で,やはり応力値が飽和する条件を確認しておくのが望ましい。これら全体の平均的要素長と局所的な要素長は,解析の精度に大きく影響することになるので,ぜひ理解しておこう。特に,前述したように応力値はメッシュの影響を受けやすいので,この2種類の値の調整が欠かせない。

図4●メッシュの粗密の変化
フィレット部や曲率半径の小さな湾曲部など,応力が集中しそうな個所には局所的に細かなメッシュを設けるのが望ましい。(a)は湾曲部の内側だけを6 分割して細分化している。(b)は均一にメッシュ分割したもの。

行儀の悪いメッシュは計算不可

 次に(3)のメッシュ形状について考えてみよう。CAEツールなどメッシュを生成するソフトには,通常メッシュの品質を判定するコマンドが用意されている。メッシュの品質とは,つまりその要素形状の良しあしにほかならない。これを判定するための定量的な指標が幾つかあるが,代表的なのはディストーション(ひずみ)である(図5)。

 これは,ソリッドであれば正4面体や正6面体ににどれだけ近いか,シェルであれば正方形や正3角形にどれだけ近いかを示す値。この値が高ければ高いほど,解析として良い結果が得やすい。特に応力を計算する場合は,評価したい部位のメッシュ品質を必ず確認しておこう。

図5●メッシュの精度
ひずみが少なく品質がよいとされるメッシュは,計算結果の精度も高い(a)。ひずみが大きなメッシュは,結果の精度が低下する(b)。ひどい場合は計算不能に陥る。

 メッシュの品質が悪いと最悪の場合は計算できなくなってしまう。ソルバが計算不可と判定してしまうのだ。この問題は,後述するソリッドの2次要素を用いると発生することがある。

 品質が低い場合は,メッシュ数を細かくする,つまり要素長を短くすることである程度改善できる場合もある。ただし,上述のように計算時間との兼ね合いを考慮しなくてはならない。もし,厳密にメッシュの品質を高めるには,元データとなるCADのサーフェスを分割してからメッシュを再生成したり,局所的に要素形状を操作したりといった煩雑な手続きが必要となるため,CAEの専門家に相談した方がよいだろう。

形状と次数を使い分け

 (4)のメッシュの次数についても基礎的なことを把握しておこう。次数とは,要素形状の近似表現の精度。一般にメッシュには1次要素と2次要素がある。1次要素は頂点の節点だけで要素の変形を表現するのに対し,2次要素は頂点と頂点の間に存在する節点をも用いて要素の変形を計算する。

 例えば,ソリッド4面体要素の場合,1次要素の節点は4個だが,2次要素は10個の節点を持つ(図6)。従って,2次要素の方が変形に対する追随性が高く,精度の高い結果が得られるとされている。

図6●1次要素と2次要素
1次要素は4個の節点しかないが,2次要素は同じ形状を10 個の節点で表す。

 シェル要素の場合は1次要素で計算するのが一般的で,あまり神経質になる必要はないが,注意してほしいのはソリッドの4面体要素の場合である。ソリッドの場合,6面体要素は自動生成が難しいため,現在ソリッド要素としては4面体要素が最も広く使われている。さまざまな解析対象の形状に幅広く対応できるのは自動生成しやすい4面体要素しかないのが実情なのだ。