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富士通研究所が開発したオン電圧が+3VのGaN系HEMT
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 Siに続く次世代のパワー半導体として,SiCとともに期待を集めていたGaN系パワー半導体素子(以下,GaN系パワー素子)。これまでは実用化の面でSiCの後塵を拝していたが,ついに2011年から市場投入されることが明らかになった。富士通は,同社のサーバー機向け電源のスイッチング素子として,GaN系トランジスタを採用する予定だ。GaN系パワー素子に関しては学会発表などが盛んだったが,具体的な用途と製品化時期が明示されるのは今回が初めてである。

 GaN系パワー素子は,導通損失とスイッチング損失を抑制できることから,電源回路に応用すると,その電力損失を大幅に低減できる。しかし,コスト面や電気特性面などに課題があり,トランジスタの実用化が遅れていた。

 今回,この状況が大きく変わった。GaN系トランジスタの積極的な事業化を目指すメーカーが現れたためだ。まず,富士通研究所が,GaN系HEMTとショットキー・バリア・ダイオード(SBD)を,2011年後半までに電源回路に搭載できる水準に引き上げる。2012~2013年には,量産する考えだ注1)。出荷するのはノーマリー・オフ型のGaN系HEMTで,まずは富士通のサーバー機向け電源装置に応用し,次にノート・パソコンのACアダプタに展開する予定である。富士通研究所の試算によれば,サーバー機の電源回路にGaN系HEMTを利用すれば,Si製トランジスタを利用する場合と比較して,電力損失を約1/3にまで低減できるという(図1)。

注1) GaN系パワー素子の製造・販売は富士通研究所ではなく,富士通のグループ会社,あるいはライセンスした他社が行うという。

図1 サーバー機向け電源の電力損失を1/3以下に
富士通研究所の試算によれば,サーバー機向け電源装置で利用するトランジスタを従来のSi製素子からGaN系HEMTに変更することで,電源装置での電力損失を約1/3以下にできるという。(図:富士通研究所の資料を基に本誌が作成)
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