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【前回より続く】

2002年から2003年にかけて,エレクトロニクス業界では有害物質の測定に大きな注目が集まった。左上の写真は,島津製作所のICP-AES装置「ICPS-7500」。右下の写真は,セイコーインスツルメンツ(現・セイコーインスツル) が2003年7月に開催したセミナーの様子。同社の分析装置の使い方などが説明された。定員150人のところ250人の応募が集まる盛況ぶりだった。
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「とても需要に追い付かないぞ」

 2002年夏。島津製作所は悲鳴を上げていた。蛍光X線分析装置を生産する厚木工場(神奈川県)の生産能力を3倍に引き上げた。それでも,すべての注文をこなすには到底,足りなかった。同社が開催した化学物質の分析方法などを紹介する説明会も,来場者であふれ返った。1回70人の定員で2回実施する予定だったが,急遽,説明会を追加する羽目になった。

 島津製作所だけでなく,分析業界全体が,目の前で起きている予想だにしなかった異変に戸惑っていた。「正直,手に負えない状況だ」。ICP-AES装置を利用した化学物質の定量分析を取り扱う分析センターの営業担当者は,急増する問い合わせに疲れを隠せなかった。

 異変の震源地は,ソニー・グループであった。同社が巻き込まれたトラブルが,すべての根源だった。

もはやアンケートでは防げない

ソニーが打ち出した新たな調達制度の概要。この制度は,大きく三つの柱で成り立っている。部品や材料を調達するメーカーに対しての「源流管理」。部品や材料を調達してから製品を出荷するまでの「品質管理」。そして,この一連のフローを分析装置による徹底したデータ主義によってつなぐ「測定原則」である。
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 2001年10月,ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)の家庭用ゲーム機「PS one」がオランダ税関で輸入差し止めの措置を受けるという「事件」が起こった。ゲーム機本体とコントローラをつなぐケーブルの被覆材から,同国の規制値を超えるCdが検出されたのである。ソニーは事件後すぐに,代表取締役会長 兼 CEO(当時)の出井伸之が自らハンドリングするプロジェクト・チームを組み,どうすれば再発を防げるか議論を始めた。

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