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【前回より続く】

JEITA傘下のJGPSSIは,2003年8月に同協会のWebサイト上でツールの操作説明書や調査フォーマット(下)などを公開した。
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 グリーンパートナーは,ソニーによる監査を通して,基準を満たすと認定したサプライヤーを指す。監査対象のサプライヤーは,全世界で約4000社(拠点数だと8000)にも及んだ。600人以上のソニーの技術者や品質管理担当者が自ら監査員となり,2003年4月からの調達制度実施に向けて全世界を飛び回った。監査では,環境管理システムや工程管理の状況など,64項目のチェック・ポイントについて丹念に調べ上げていった。

 測定データの提出にしろ,監査による認定にしろ,ソニーの新制度がサプライヤーに与える負担は計り知れなかった。サプライヤーから聞こえてくる怨嗟の声は決して小さくなかった。だがソニーは,監査員の派遣など自らも過大な負担を負いつつ,前へと進んだ。「同じトラブルは二度と起こさない」。オランダでの「事件」の苦い経験が,ソニーにひるむすきを与えなかったのだ。強固な決意で業界の猛反発に立ち向かい,波風立てて突っ走った。

ソニー CSR部 統括部長の冨田秀実氏。(写真:室川 イサオ)

 冨田には自信があった。「いずれ,業界全体がこちらに進む。我々の方向性は間違っていない」。2002年11月には,EU(欧州連合)におけるRoHS指令の施行日程が2006年7月1日と正式に決まっていた。エレクトロニクス業界全体が厳しい世界に飛び込む光景が,冨田には見えていた。機器メーカーとサプライヤーのどちらもが,有害物質への取り組みを一から見つめ直さなければ生き残れない。そのために必要不可欠な方策を,一歩先んじているだけだ─。そう考える冨田の目には,一点の曇りもなかった。

 冨田の読みは正しかった。当初は様子見だったほかの機器メーカーも,ソニーと同様に測定データや不使用証明書の提出などの仕組みを徐々に打ち出し始めた。ソニーが新たなグリーン調達制度の策定に際して作成した技術文書「SS-00259」のコピーが,海外メーカーの基準書として市場に出回る珍事も起こった。

 いったん動きだすと,機器メーカー各社はソニーに続けとばかりに,グリーン調達の強化を進めた。この状況は,ただでさえソニーの制度への対応で苦しんでいたサプライヤーに,さらなる追い打ちをかける結果になった。含有量データや不使用証明書の提出義務化が,現場を混乱に陥れていた。

手弁当から世界仕様へ