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【前回より続く】

 よく分からないから取りあえず試作してみて様子を見る,というのが旧来の典型的な設計方法だった。この点を大きく変えたのが3次元CADであり,実際に物を造る前にコンピュータ上で試行錯誤をすることが可能になった。しかし,試作か3次元CADかはともかく,試行錯誤によって設計を進める点についてだけ言えば,両者に本質的な差はない。

 試行錯誤とは,設計案を次々と変更して評価することだから,変更と評価にかかる手間が大きいと負担になる。物理的に試作して,やすりをかけたりするよりは3次元CADの方が楽なのは確かだが,詳細に決まった3次元CADデータを変更するのも容易なことではない。できるだけ簡単なモデルをコンピュータ上に構築して,設計の上流段階で変更と評価を実行するのが理想的だ。さらに言えば,過去の経験や理論から論理的に正解を導ける事柄については,そもそも試行錯誤しない方が効率的である。いずれにせよ,アイデアを効率的に形にしていくには「論理力」が必要になる。

設計対象と手順を論理的に

 そこで,論理力を高める取り組みには,大きく分けて二つの方向が出てくる(図1)。一つは,設計対象を論理的に抽象化したモデルを使い,そこで試行錯誤を実行して,実現可能な理想の設計解を早い段階で求めてしまうもの。そこで使うモデルは,必ずしも3次元モデルである必要はない。理想解といっても論理的に実現可能なものだから,それを基に詳細に設計を進めていけば,試作した後で性能が不足している,しかも原因が分からない,などといったことは発生しないはずである。

図1●論理的に考えることの二つの段階
まず,解決案に至る道筋を考えて方向付ける段階(①)が,次に決まった方向に沿って細目を詰めていく段階(②)がある。
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