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【前回より続く】

3次元CADを使い分ける

 以上のような取り組みにおいて,ツールの果たす役割は重要だ。トヨタ自動車のパラメータモデルは自社開発のほか,市販の物理モデリングツールと,いわゆる1次元シミュレーション・パッケージを併用することで実現している*3 。一方,リコーの取り組みでは,ワークフローの定義と提示,設計情報の提示と登録に関するシステムは,自社開発のツールで実現した。

*3  市販の物理モデリングツールには「Dymola」(仏Dassault Systemes社),「SIMULINK」(米The Mathworks社),「Simplorer」(米Ansoft社),「SimulationX」(独ITI社)などがある。1次元シミュレーション・パッケージには「LMS Imagine.Lab AMESim」(ベルギーLMS International社),「AVL BOOST」「AVL CRUISE」(オーストリアAVL List社),「GT-SUITE」(米Gamma Technologies社),「Flowmaster」(英Flowmaster社)などがある。

 両社ほどのシステム開発力がなくても,現在広く普及している3次元CADで使い方を工夫することはできる。トヨタ自動車の例のような設計対象の抽象化は難しいが,形状についてであれば自由なパラメータスタディーに使うことができるし,手順に従ったモレのない設計を実現する可能性もある。

 簡易な試行錯誤に向いているのは,ダイナミック・モデリングやダイレクト・モデリングと呼ばれる,形状を直接編集できるCADだ*4 。既存製品のデータを簡略化した上,一部の寸法を変更しながらCAEツールで構造解析などの評価を実行するという利用法が,リーマンショック以来増えているようだ。

*4 代表格が「PTC CoCreate Modeling」(米PTC),「SpaceClaim」(米SpaceClaim社)。

図5●方向付けの段階では形状変更の容易なCADが向く
形状変更の自由度が高い「ダイナミック・モデリング」「ダイレクト・モデリング」と呼ばれる操作のできるCADは,CAEと組み合わせて試行錯誤を進めるのに向く〔「SpaceClaim 2010」(米SpaceClaim社)で利用可能になった,解析計算準備のためのビーム要素定義機能〕。
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 「SpaceClaim」の場合には特に,既存のCADとは別に「構想設計用のCADとして使いたいといわれる案件が増えている」(スペースクレイム・ジャパン代表取締役の小林明氏)という。そのためSpaceClaimは,最近のバージョンアップではCAEツールとの連携を強化。例えば,最新版では計算負荷の少ないビーム要素を生成する機能を追加した(図5)。