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 回路技術が進化する一方で、太陽電池に影がかかる場合や、直列接続する太陽電池モジュールごとの特性のばらつきが原因となって、太陽電池から取り出せない電力が意外に多いことが分かってきた(図5)。この問題に対処するために、システム全体での発電効率の向上に着目した開発が重要となってきている。

図5 発電電力と影の関係
影の面積が全体の数%であっても、太陽電池パネルの発電量が20%減少するといったことが起こっている。
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 開発の方向性は二つある。一つは、現在主流のMPPT(maximum power point trucking)制御方式を改良するという方向。もう一つは、太陽電池モジュールのつなぎ方を工夫することで多様な条件下での効率を向上させる方向である。

 まず、前者のMPPT制御方式の改良について説明する。太陽光発電システムの発電特性は日射量や温度によって変化するので、パワー・コンディショナには太陽電池モジュールを束ねたアレイを最大電力出力点で動作させるための制御回路を搭載している。具体的には太陽電池アレイから最大電力を得られるように出力電圧を調整する。この制御方式がMPPTである。

 しかし、太陽電池アレイの一部に日陰ができると、発電特性が単一のピークではなく複数のピークを持つようになる(図6)。従来のMPPT制御では太陽電池アレイの最大電力出力点を探索できず、最大電力を出力できるポイントではない電圧で動作してしまうという課題があった。特に、市街地や都市近郊のように設置場所近辺に建物や樹木があると、これらによってできる日陰が太陽電池アレイから取り出せる電力を大きく低下させる。

図6 MPPT方式を改良
アレイを構成する一部の太陽電池モジュールの出力が下がると、電圧‐電力特性は、単純な山形ではなく、複数のピークを描く。複数のピークのうち、最大値をとるようなポイントを選ぶ方式を採用することで、従来の2倍以上の発電量を得られた。
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 こうした課題を解決するために、太陽電池アレイの発電特性を連続して自動計測し、計測された発電特性の最大電力出力点で太陽電池アレイを動作させる新しいMPPT制御の開発が進んでいる。

 日陰や汚れにより太陽電池アレイの発電特性が時間と共に変化する場合でも、常に太陽電池アレイの最大電力出力点を選択するため、太陽電池アレイの発電能力を最大限に引き出すことが可能となる。これにより、設置環境による発電量低下を最小限に抑える。

 三菱電機が開発した方式では、太陽電池アレイの一部に日陰が生じた場合、従来のMPPT制御と比較して、日陰のでき方によっては2倍以上の電力が出力可能なことを実証している5)

5) 三菱電機ニュースリリース,「太陽光発電システムの出力最大化技術を開発」,2010 年2月16日.