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 一般家庭にも導入を見込めそうだ。実際,三洋ホームズは,2009年11月から大容量Liイオン2次電池付き住宅の販売に踏み切った。負荷平準化と非常用バックアップ電源,昼間蓄電した太陽光発電による電力を夜間にLED照明などに利用するという注3)。さらに,安価な深夜電力を蓄えておき,太陽光発電による電力が少ない午前の時間帯の電力を補助する。

注3) 太陽電池は直流で発電し,蓄電池は直流で充放電するため,太陽電池と蓄電池を組み合わせたシステムは直流のまま電力を扱うことができる。LED照明も直流で駆動するため,変換ロスを低減する効果が期待できる。

 搭載するLiイオン2次電池は三洋電機製で,ノート・パソコンで用いられる直径18mm×長さ65mmの「18650」セルをモジュール化したものを採用した。電池容量は約1.5kWhである。ただ,「1家庭が使う電力をすべて蓄電池から賄おうとすると7k~8kWhは必要ではないか」(三洋ホームズ 事業戦略室の船曳仁氏)という。

 今回の販売では,20棟まで国土交通省の補助金を受けられるが,本格的にこうした蓄電システムが普及するには,「まず太陽光発電がグリッド・パリティを達成すること」(船曳氏)が重要な条件となるとする注4)。そのため,一般家庭への大容量Liイオン2次電池の普及は2015年以降になりそうだ。それでも,戸建て住宅に8kWhものLiイオン2次電池を設置するようになれば,その市場規模は巨大だ。例えば,日本の4500万世帯のうちの1割に設置が進めば,3万6000MWhと,現状のLiイオン2次電池の年間市場規模の2倍以上となる。

†グリッド・パリティ=ある発電システムの発電コストが,既存電力(grid)と同等(parity)になること。太陽電池では,2010 ~2015年にグリッド・パリティに到達するといわれている。

 急成長を見込める大容量Liイオン2次電池市場に,数多くのメーカーが参入してきたことで,今後は生き残りをかけた競争が激化しそうだ。思い出されるのは,DRAMや液晶パネルなどの投資競争に遅れを取って韓国メーカーなどにシェアを奪われた,日本の電機メーカーの歴史である。

 特に,韓国の勢いが止まりそうもない。「そろそろ企業別シェアで,Samsung SDI社が三洋電機を抜くのではないか」(複数の電池関係者)との声が漏れ聞こえてくる。2000年ごろにはほぼ100%だったLiイオン2次電池の日本のシェアは,2003年度には約64%に,2008年度には半分を割り込んだ(図6)。電池材料を手掛ける日本の材料メーカーは「2~3年後には,日本向けよりも海外向けの方が増えるだろう」との声も多い(pp.42─47の第2部「巻き返しを狙う韓中米,強気の増産計画が続々」参照)。

図6 外国勢の追い上げに苦しむ日本メーカー
韓国と中国を中心とする海外メーカーの台頭により,国内メーカーのシェアは年々低下している。図は,三洋電機の資料を基に本誌が作成した。
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