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 このシステムは、16台(8台×2カ所)の特殊カメラを用いて22人の選手とボール、そしてレフェリーの動きをリアルタイムに追いかける。同様のシステムを開発する企業は他にもあり、その開発と導入は世界的な潮流になっている。今後、スポーツの戦術分析やスポーツ中継の現場などでは、急速に導入が進みそうだ。Hawk-Eye社のシステムは、まさに「デジタル・スポーツ」の一翼を担う技術の一つだ。 

ソニー プロフェッショナル・ソリューション事業本部 スポーツ&スタジアム事業推進室 1課 統括課長の山中功一氏
ソニー プロフェッショナル・ソリューション事業本部 スポーツ&スタジアム事業推進室 1課 統括課長の山中功一氏
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 ソニー プロフェッショナル・ソリューション事業本部 スポーツ&スタジアム事業推進室 1課 統括課長の山中功一氏は、「スポーツ市場はこれから大きく伸びる。この分野で幅広く商機を捉えるために、放送・業務用機器を手掛ける事業グループで横断的に取り組もうと考えた」と話す。大手エレクトロニクス・メーカーが「スポーツ」や「スタジアム」と銘打つ組織を設けるのは異例のこと。スポーツ分野に賭ける同社の意気込みが伝わってくる。

時速200kmを超えるボールの軌跡を再現

 “鷹の目”の名を冠したHawk-Eye社のシステムは、スタジアムに設置した複数台のカメラでボールの軌跡を捉え、独自の画像処理技術でライン判定を下す。時速200kmを超えることもあるテニス・ボールの軌跡をmm単位で割り出す判定精度の高さが特徴だ。

 チャレンジ権が行使される場面では、このシステムが再現したボールの軌跡が、3次元グラフィクス映像としてコート脇のスクリーンやテレビ中継で流される。審判がアウトと判定したボールが、3次元グラフィクス映像では、サイド・ラインの端をわずかにかすめていた――。そんな場面を期待して、近頃では微妙なライン判定が下されるたびに、チャレンジ権の行使を期待する空気が会場を包むようになった。

コートを捉える撮影速度350フレーム/秒のHawk\-Eyeの高速度カメラ
コートを捉える撮影速度350フレーム/秒のHawk-Eyeの高速度カメラ
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 Hawk-Eye社のシステムはウィンブルドン選手権では2007年から導入されており、テニスの他にもクリケットの競技判定に使われている。2012年7月には、FIFA(国際サッカー連盟)がゴール判定のシステムとして導入を決めた。2014年にブラジルで開催されるW杯などで活用される見通しである。ラグビーやアメリカン・フットボール、野球などでも競技団体による評価が進んでおり、世界中のさまざまなスタジアムに標準の判定技術として導入されることになりそうな勢いだ。

 ソニーは今後、Hawk-Eye社のシステムを核に「スタジアム向けの業務用機器の販売を増やし、同時にソニーのデジタル技術を融合した“脱売り切り型”の新規ビジネスを構築する」(同社の山中氏)と意気込む。スタジアムには既に、放送用カメラや監視カメラなどソニーの機器が広く浸透している。それに加えて、Hawk-Eye社のシステムを用いたプレーのデータ化と、それを基盤にしたコンテンツやサービスの提供に踏み込んでいく考えだ。