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統合が開発を後押し

「スマートフォンの開発に遅れが出なければいいが…」。2010年6月に発表された、富士通と東芝による携帯電話機事業の統合。当時、東芝で2010年 冬~2011年春商戦向けのスマートフォンの開発を統括していた辻村諭(51、富士通東芝モバイルコミュニケーションズ 執行役員 兼 開発本部長)は、統合の発表を受けて不安な気持ちを抱えていた。

 開発中のスマートフォンは、東芝として初めて米Google社のソフトウエア基盤「Android」を採用したモデル。これまで開発を進めてきた米 Microsoft社の「Windows Mobile」からソフトウエア基盤を刷新したため、いつにも増して開発時間が足りなかった。事業統合に伴う引っ越しなどの事務作業で、開発に向けられる 時間はさらに短くなる可能性がある。国内市場では既に、海外メーカー各社がAndroid搭載スマートフォンを続々と製品化しており、「市場投入がこれ以 上遅れてしまえば、国内市場でも生き残れない」(辻村)という危機感があった。

 だが、こうした不安は杞憂に終わる。富士通の上層部が国内市場におけるスマートフォンの重要性を認識しており、開発に専念できるような体制を維持してく れたのだ。2010年10月1日の富士通東芝モバイルコミュニケーションズの発足後は、新機種の製造ラインの立ち上げから部品調達、不具合の解析など多く の面で、富士通の開発陣のサポートを受けられた。

 この結果、事業統合によるロスは最小限に抑えられ、2010年10月18日にはKDDI向けの「REGZA Phone IS04」、同年11月8日にはNTTドコモ向けの「REGZA Phone T-01C」の発表にこぎ着けた。これら2機種は、辻村が東芝時代に手掛けたスマートフォンに比べて、桁違いの台数が売れているという。