ところで3Dプリンターってそもそもどんなモノ?

 もう一度、3Dプリンターとは何かを説明しよう。「プリンター」とは呼ばれるけれど見かけはまったく違う。これはPCで制御して、樹脂製の立体物を作るための「工作機械」だ。その意味では、刃物で材料を削って部品を作る切削加工機や、樹脂を金型に流しこんで部品を成形する射出成形機の仲間である。

 3Dプリンターは、樹脂を溶かしながら積み上げて作るというところが違う。基本的には物理的に成立する形なら「何でも」作れるのだ。さらに、切削加工機と違って操るスキルや手間もいらない。いくつか方式はあるが、立体物を薄くスライスした形の樹脂を作り、それを積み上げて全体を作るところはほぼ同じだ。薄くてもたくさん積み重ねれば立体になる。CTスキャンは立体である人体をたくさんの断面に輪切り映像にするが、その逆の流れと考えればいいかもしれない。

写真提供:ホットプロシード
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 作りたい物体の3Dデータを、まず「STL」と呼ばれるファイル形式に変換する。3Dプリンター付属のソフトをPCにインストールして、3Dプリンターとつなぐ。ワイヤー状の樹脂材料を取り付けて機械を調整し、付属のソフトにSTL形式のデータをセット。スタートすれば後は待っているだけで本当にモノができる。小さくて薄いものなら数十分から1時間くらい。大きなのは何時間もかかるけれど、夜寝る前にセットしておけば朝になればできているので、実質の待ち時間はゼロといってもよいだろう。その意味では、確かに個人でも「モノ作りができる夢の機械」かもしれない。

 パーソナルな3Dプリンターで使う材料は主にABSやPLAと呼ばれる樹脂になる。ABSは聞いたことがあるかもしれない。PLAとはポリ乳酸と呼ばれる樹脂でトウモロコシを原材料にしたエコプラスチックと呼ばれるものだ。

 材料の細い樹脂ワイヤーを熱で溶かしながらプリンターヘッドから押し出す。ヘッドはPCからの信号に応じて左右に動き1枚の絵を描く。描き終えたら、これが1枚分のスライスだ。1枚が完成したら、台がわずかに下がり、ヘッドは次の絵を溶けた樹脂で描いていく。溶けた樹脂で描くので、前に書いた樹脂とくっつく。これを次々と、何百層も積み重ねて一つの立体物ができるのだ。