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<前回のあらすじ>
 セガの十文字新が発案した、「おしっこ」をしながら楽しむゲーム。このアイデアに興味を持ったメンバー数人が、本業の空き時間を利用して開発に取り組み始める。尿の勢いや量などを検出するのに適した手法を見つけたものの、ビジネスモデル面で行き詰まり、その研究開発は2008年からいったん凍結されてしまう。だが、実用化を諦め切れないメンバーの一人は2009年末ごろ、町田裕孝にトイレッツ製品化の相談を持ち掛ける。打開策として町田が考え付いたのが、便器の上に設置するディスプレイに広告を表示することだった。このアイデアを検証するため、パチンコ店のトイレにトイレッツの試作機を取り付け、試験を開始する。

「あのー、すいません。トイレ内にディスプレイか何かがありませんでしたか?」
「はぁ?」
 男性客の殺気立った目でにらまれる佐々木勇人。先ほどから何度こんな目に遭ったことか。トイレッツのゲーム開発担当として町田たちに誘われて参加したものの、こんなことを続けていたら、いつけがをしてもおかしくないな…。 

 2010年夏。佐々木たちトイレッツ開発メンバーの面々は、パチンコ店のトイレから出てくる男性客に対して、ある“出口調査”を行っていた。その調査とは、トイレッツの画面に表示された情報を見た男性客がどの程度その内容を覚えているか、というものである。狙いは、トイレッツの広告効果を調べることだった。

 以前にも、実際の店舗にトイレッツを置いて検証試験をしたことがあった。だが、この試験はあくまでトイレッツの前に立った人を数える簡易的なもの。トイレッツのディスプレイを使った広告効果を調べるのは今回が初めてだった。

 具体的には、4種類の味の栄養補助食品をトイレッツのディスプレイに表示し、「ディスプレイの存在に気が付いたか」「何が表示されていたか」「味は何種類あったか」「何味と何味があったか」などを、男性トイレから出てきた利用客に質問していった。

 こうした質問に対し、中にはきちんと答えてくれる男性客もいた。しかし、トイレを出た直後に怪しげな質問を投げかける佐々木たちに対し、そっけない反応を示す客がほとんどだった。

 それもそのはず。お客はパチンコのために来ているのだ。
 仕事とはいえ、「出玉」以外には興味が薄い客に話を聞くのは、やはりつらい。果たして俺たちの努力は報われるのだろうか…。


トイレッツの開発風景。(写真:セガ)