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温泉を濃縮して消費地へ運ぶ

 超音波霧化分離技術の有望な用途として、松浦氏は大きく三つを挙げた。まず、前述した廃水処理である。廃水中から水を除くなどして減容化する際のエネルギー消費量を減らせるだけでなく、減容化によって産業廃棄物処理業者に依頼する処理量も減らせることで処理に要するコストの削減にもつながる。ナノミストテクノロジーズの納入実績では、廃水処理装置の案件が一番多いという。

 次に松浦氏が挙げたのが、温泉水の濃縮である。これは、温泉中の水分を減らし、有効成分だけを濃縮させるというもの。濃縮させることで「温泉のもと」として持ち運びやすくし、温泉地から離れた土地で活用しやすくすることを狙う。温泉地での源泉を都会などで利用しようとすると、タンクローリーを使わざるを得ず、輸送コストがかかってしまう。そこで、温泉地にて源泉を濃縮して減容化した後に消費地に運ぶようにすれば、輸送コストを減らせるというわけだ。都会での温泉施設や介護施設などでの利用を想定している。1トン/日で処理できる装置を作り、2013年秋に関東のある施設に納入する計画だ。

 温泉濃縮の案件は、もともとは群馬県のある温泉地から持ち込まれたものだった。依頼者は当初、温泉水を加熱して濃縮することを検討してきたが、所望の処理量をこなすにはエネルギー消費量が大きくなってしまうので困っていた。そうした問題は、超音波霧化分離技術で解決できるとする。

 松浦氏が3番目に挙げたのが、病院での溶剤回収である。使用済みの病理染色液などから、溶剤をリサイクルする用途に向ける。病理染色液は、マーカーである色素を有機溶媒に溶かして使う。その溶剤をリサイクルするのである。使用済みのキシレン液、ホルマリン液のリサイクルにも使えるとする。とくしま産業振興機構の協力を受けて2012年度に装置を開発し、2013年夏すぎから装置の販売を始める。

 装置は1台400万円。利用しようとするとこれだけの初期費用が必要になるが、利用者は数年で元が取れると、松浦氏は試算する。松浦氏によれば、溶剤の値段は500円/L、さらに専門業者に依頼する処理には150円/Lが掛かっているという。大規模な病院や検査センターなどで仮に1日10Lの処理が必要な場合には6500円掛かる。年間で100日処理すると考えると65万円。つまり、数年で初期費用が賄える計算だ。「病院は今、クリーンであることが重要になってきた。その面でも、リサイクルできることは大切である」(松浦氏)。なお、従来は使用済みの病理染色液から溶媒を回収する場合、加熱する手法を使ってきたという。

 大規模な病院や検査センターが想定顧客とし、国内だけでなく、海外展開も視野に入れている。何十億円レベルの市場になると、松浦氏は期待を膨らませる。