全国各地にメガソーラー(大規模太陽光発電所)の建設が始まり、稼働を始めたサイトも出てきた。だが、それらは決して一様ではない。太陽光パネルの方式はもちろん、架台に設置する角度も様々だ。メガソーラーの現場を訪ね、関係者への取材を通じ、プロジェクトの成り立ちを紐解きつつ、それぞれの特色に行き着くまでの背景やエピソードを紹介する。そこには日本のメガソーラービジネスのノウハウが詰まっている。

メガソーラー探訪
目次
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亘理の被災地メガソーラー、東北なのに設備利用率17.6%の秘密
「1haに1MW超」で面積効率2倍、過積載率1.6倍
宮城県亘理町は、仙台から南に約26kW。黒潮の流れる太平洋に面し、冬は暖かく、夏は涼しい。阿武隈川の南岸にあり、川を「渡る地」から、「わたり」という地名になったと言われる。温暖な気候から果樹栽培が盛んで、特にイチゴの生産は東北一だ。
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「雑草を食べきれず、ヒツジを増やしました」、明石土山のメガソーラー
ヒツジを放牧しない区域は、除草剤を積極的に使う
兵庫県加古郡稲美町にある合計出力約17MWの「ニッケまちなか発電所 明石土山」において5月29日、メガソーラー内で放牧されている5頭のヒツジの毛刈りが実施された。
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「北向き」斜面で特高メガソーラー、大分・中堅企業の挑戦
稼働後2年も、雑草がほとんど生えない秘密
大分県の日出町(ひじまち)は、国東半島の南部、別府湾を望む海沿いに位置する。「日出」の付く地名は多いが、「ひので」や「ひで」が一般的で、「ひじ」と読むのは珍しい。その名の通り、町内の高台からは、別府湾から上る日の出が美しい。
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パネルの気泡とフン、接続箱の過熱、甲府の倉庫上メガソーラーの6年(後)
ファンの故障はメーカーがすぐに対応
山梨県甲府市にある「甲斐の国メガソーラーステーション」は、倉庫の屋根上を活用した、出力約1MWのメガソーラーである。
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志摩市の国立公園内にメガソーラー、分離発注による自社EPC
干拓した水田を農地転用、盛土して浸水対策
三重県志摩市は、リアス式海岸に大小の島々が点在し、全域が伊勢志摩国立公園に含まれる。ほかの国立公園と異なり大部分が民有地なのが特徴だ。阿児町(あごちょう)は、英虞(あご)湾に面し、2004年10月に周辺4町と合併して志摩市になり、現在は同市の地名として名を残している。豊かな自然から観光産業や漁業、…
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「太陽光パネルが台風による屋根の損傷を抑えた!?」、甲府の屋根上メガソーラー(前)
大雪により約3週間、発電できない事態も
山梨県のほぼ中央に位置する甲府市白井町。中央自動車道・甲府南インターから石和方面に抜ける国道140号(笛吹ライン)に近接している倉庫の屋根上に、4354枚の太陽光パネルを並べた出力約1MWのメガソーラーがある。
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宮古島、「常時」出力制御、エコキュート「昼運転」で再エネ比率90%へ
メガソーラーは架台の「腐食」対策が急務に
沖縄県の宮古島は、東京から約2000km、那覇からでも約300kmの距離にあり、沖縄本島と台湾のほぼ中間に位置する。宮古島市は、今後、島内に太陽光発電をさらに増やし、2030年に128MW、2050年には208MWまで導入する目標を2019年3月に公表した。
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茅野と伊那の発電所に見る「セカンダリー太陽光」の買い方
地域や地主との取り決めなど、書類に現れない点も
長野県茅野市に、太陽光パネルの出力が約1.33MW、パワーコンディショナー(PCS)の定格出力が1.26MWの「EBH茅野スタジアム発電所」がある。
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東証インフラファンドに上場した防府のメガソーラー
風力・水力発電の運用資産への組み入れも睨む
2019年2月13日、東京証券取引所のインフラファンド市場にエネクス・インフラ投資法人(東京都港区)が上場を果たした。同投資法人の運用資産は、5カ所のメガソーラー(大規模太陽光発電所)で、パネル出力で合計約37.6MWの規模となる。
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「黄砂」に「落雷」、想定外の状況に機敏に対応した飯塚市のメガソーラー
PCSは当初から遠隔制御、九電の制御指令にスムーズに対応
福岡県飯塚市にある工業団地の一角に、ダンプカーやタンクローリー、ごみ収集車といった特装車メーカーである極東開発工業の福岡工場がある。この工場の敷地内に、太陽光パネルの出力、パワーコンディショナー(PCS)の定格出力ともに1.5MWのメガソーラーがある。
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久喜市最大級のメガソーラーが屋根上に稼働
物流施設の付帯設備で地域と地球環境にも貢献
JR東北線・東武伊勢崎線の久喜駅から県道151号線を北西に約2.5km。県道を左に折れると、「理科大通り」と呼ばれる道がある。だが、いまそこに東京理科大学はない。
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「積雪」「凍上現象」を乗り越える八戸市のメガソーラー
PCSの冷却設備の故障も、ロスは最小に
青森県八戸市にある八戸市北インター工業団地の一角に、太陽光パネルの出力が約1.7MW、パワーコンディショナー(PCS)の定格出力が1.5MWのメガソーラー「八戸メガソーラー発電所」がある。
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福山市、地域の再エネで国内最大級の地域新電力
「次世代エネルギーパーク」のRDF・太陽光発電を地域で活用
広島県福山市の南部に位置する箕沖町は、瀬戸内海に面した沿岸部に位置し、南端からは、景勝地として知られる鞆の浦や、海に浮かぶ大小の島々を一望できる。同町のエリアは1970年代から造成の始まった埋め立て地で、瀬戸内工業地域の一翼を担っている。
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発光によるカラス対策の効果は? 琵琶湖のリゾートホテルのメガソーラー
ホテルが見回りを担当、環境に配慮しフェンスは茶色に
滋賀県守山市の北部、琵琶湖の南端近くに、リゾートホテル「琵琶湖マリオットホテル」がある。湖畔に位置し、水面に映る山々や豊かな自然を楽しめることが、ホテルの大きな魅力となっている。
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25度の急斜面に建設した「空港メガソーラー」
色や設計で南紀白浜の景観にも配慮
和歌山県南部の白浜町は、約8割が森林で吉野熊野国立公園の一部を形成するなど、豊かな自然に恵まれる一方、「南紀白浜空港」や、パンダで人気の「アドベンチャーワールド」を町域に有するなど、交通や観光で紀伊半島の要となっている。
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台風で敷地が浸水! でも太陽光の全設備が難を逃れたワケ
滋賀「舗装メガソーラー」の6年(後編)
前回、紹介した滋賀県湖南市にある出力約1.81MWの「昭建石部ソーラー発電所」、滋賀県米原市にある出力約2.45MWの「昭建柏原ソーラー発電所」では、それぞれ稼働後約6年間、約5年間の間に、異常気象によるトラブルや、大規模修繕を経験してきた。
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新潟県最大55MWのメガソーラー、四ツ郷屋で稼働
砂地の地盤に深さ平均3mの杭基礎で対応
新潟市西区の四ツ郷屋地区は、日本海を望む弥彦山脈北麓に位置する。その地名は江戸時代に遡る農漁村としての歴史を持ち、第二次大戦後は、砂丘地も開発され、夏はスイカ、秋はダイコンなど、新潟市近郊の農業地帯として発展してきた。
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稼働して約6年、発電量が増える滋賀の「舗装メガソーラー」
雑草対策は不要、パネル洗浄も奏功
滋賀県湖南市石部北にあるアスファルトコンクリート(アスコン)工場の敷地内に、出力約1.81MWのメガソーラー「昭建石部ソーラー発電所」が立地している。
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南相馬市、30MWのメガソーラー稼働で、まず「RE50」
津波被災地の再開発で「再エネ100%」目指す
今年1月24日、福島県南相馬市で、太陽光パネルの出力32.3MW、連系出力24MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)「南相馬原町東太陽光発電所」の竣工式が開催された。 2017年1月に着工し、2018年12月10日に商用運転を開始していた。
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冬に最も発電量を稼ぐ北海道浦幌町のメガソーラー
無制限・無補償の出力制御が条件となるもファイナンスに成功
北海道十勝郡浦幌町に、太陽光パネル出力が約1.95MW、パワーコンディショナー(PCS)出力が1.75MWのメガソーラー「PVNext EBH浦幌第一発電所」がある。