メガソーラービジネスは、初期投資を抑えつつ、20年間の長期信頼性を確保するというトレードオフを、いかにバランスさせるかが課題になる。稼働・運用中のトラブルを減らすため、絶対に妥協してはいけない設計や設備選定のポイントは何か。トラブルを早期に発見し、機敏に対処するための運用・保守体制などに関し、長年、太陽光発電システムのトラブル事例を研究してきた専門家の提言を紹介する。

メガソーラー・トラブルシューティング
目次
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「パワコンの基礎が傾き、法面は崩れ、布基礎が割れる」、熊本地震で被災したメガソーラー(前)
パワコンは電気的にも故障、売電再開までに約3カ月間を要す
2016年4月に起きた熊本地震は、震度7をはじめとする強い揺れが続いたことで、熊本県を中心に、甚大な被害を及ぼした。この地震で大きく動いた断層の直上やその近隣と、それ以外の場所では、被害の状況に大きな違いがあった。
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鉾田市の特高メガソーラー、障害でパワコン20台が全停止
地下ケーブルに地絡、全面復旧に1週間を要す
茨城県鉾田市に稼働している出力21.54MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)「鉾田太陽光発電所」が、大型連休中の5月2日に障害によってパワーコンデショナー(PCS)全20台が停止し、全面普及に7日を要するというトラブルがあった。
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分散型パワコンの盲点「点検時の感電・損傷リスク」、保安協会が断る場合も
背景に点検文化の違い、一部の海外メーカーはオプションで対策を開始
ここ数年、大規模な太陽光発電所においても、初期投資と売電ロスを減らせるという期待から、分散型のパワーコンディショナー(PCS)の採用が増えている。
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「太陽光パネルをクルマの下に敷く中古車店」に見る、想定外のリスク
発電設備との認識に乏しい「目的外使用」にどう備えるか
太陽光発電は、相対的に歴史の浅い産業分野に入る。今後の課題のひとつに、太陽光パネルが身近になればなるほど、発電以外の用途で使われることへの懸念がある。
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雑草を放置するとこうなる! 高まる火災リスク、延焼すれば損害賠償も
発電量のロスよりも、近隣に与えるリスクを自覚すべき
前回まで5回にわたって、2018年9月30日に日向灘を強い勢力で通過し、宮崎県内を暴風雨にさらした台風24号による、同県内で被災した太陽光発電所を紹介してきた。この訪問時に、敷地内で雑草が繁茂している状況を放置している発電所を見かけることもあった。
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平屋の建物のような重厚な構造でも、吹き飛んだ太陽光パネル
宮崎で、昨秋の台風24号による被災太陽光発電所を巡る・その5
今回紹介するのは、ほかにほとんど例をみないようなタイプの事業用低圧太陽光発電所である。宮崎市内に立地し、低圧配電線に連系している
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他法令違反で初の「認定取消」、農転せずに太陽光パネル
経済産業省・資源エネルギー庁は3月6日、固定価格買取制度(FIT)に基づく8件の太陽光発電の認定を取り消したと発表した。農地法と農振法に違反したことが、取消となった理由で、FIT法違反でなく、「他法令違反」による認定取消はこれが初めてとなる。
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低圧太陽光・12段の大型アレイ、「凧揚げ」のように煽られ損壊
宮崎で、昨秋の台風24号による被災太陽光発電所を巡る・その4
2018年夏から秋にかけて、国内各地で記録的な強風や豪雨を伴う台風の通過が相次いだ。住宅や社会インフラ、山林、河川などに大きな被害をもたらし、それらの地域に立地している太陽光発電所のなかには、大きく損壊するなど被害を受けたサイトもあった。9月30日に日向灘を強い勢力で通過し、宮崎県内を暴風雨にさら…
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北東からの強風で、国道沿いの太陽光パネルが吹き飛ぶ
宮崎で、昨秋の台風24号による被災太陽光発電所を巡る・その3
今回紹介するのも、宮崎市内にある低圧配電線に連系している事業用太陽光発電所である。敷地の東側にあるアレイのうち、二つからほとんどの太陽光パネルが外れ、地面に放置されている。
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強風に揺すられ、スクリュー杭が抜けアレイが吹き飛ぶ
宮崎で、昨秋の台風24号による被災太陽光発電所を巡る・その2
今回紹介するのも、宮崎市内にある低圧配電線に連系している事業用太陽光発電所である。基礎に使っていたスクリュー杭が地面から抜け、架台の鋼材が大きくねじ曲がったり、太陽光パネルが外れて変形し、カバーガラスが割れたり、穴が空いたりといった損壊が見られる。
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北東からの強風で、基礎ごとアレイが吹き飛ぶ
宮崎で、昨秋の台風24号による被災太陽光発電所を巡る・その1
2018年夏から秋にかけて、国内各地で記録的な強風や豪雨を伴う台風の通過が相次いだ。住宅や社会インフラ、山林、河川などに大きな被害をもたらし、それらの地域に立地している太陽光発電所のなかには、大きく損壊するなど被害を受けたケースもあった。
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不良太陽光パネルは、こうして発火・延焼した!
消費者庁・報告書が解明した「住宅太陽光・火災」のプロセス
報告書は、13件の火災などの事故調査を経て、発火に至るプロセスを推定している。この推定を基に、火災の起きていない他の稼働中の住宅用太陽光を調査し、実際に発火に至るプロセスの最中にある状況の発電設備も発見した。
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「住宅太陽光の火災事故はパネルの不良にも起因」、消費者庁が報告
パネルとケーブルが発火元の火災を重点調査
消費者庁は1月28日、住宅用太陽光発電システムから発生した火災などに関する報告書を公開した。
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太陽光パネルの絶縁不良か? 増えてきた「雨天時の原因不明の地絡」
エネテク 第26回
今回、紹介するのは、太陽光発電所において、雨が降った時のみに生じる地絡の例である。雨の日にパワーコンディショナー(PCS)単位の遠隔監視システムが地絡を検出し、稼働を停止するものの、再起動後、雨天以外であれば、通常通りに発電が復旧する。その後、再び雨が降った日には、またPCSが停止する。
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台風21号の猛烈な風、太陽光パネルに「これまでにない損傷」、経産省が公表
想定を超える風圧で固定されたままパネルが損傷
経済産業省・新エネルギー発電設備事故対応・構造強度ワーキンググループ(WG)は2018年11月26日に会合を開き、昨夏の自然災害で損傷した太陽光発電設備(連系出力50kW以上)の被害状況に関する調査結果を報告し、「斜面や土地改変した場所への発電設備の設置に技術基準を検討する」などの対応策を示した。
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屋根上太陽光に多い「金具によるケーブルの挟み込み」
エネテク 第25回
今回は、屋根上に設置された太陽光発電設備に特有のトラブルを紹介する。太陽光パネルとパネルをつなぐケーブルの地絡である。
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絶縁不良で稼働停止間近に、原因はコネクタに穴
エネテク 第24回
太陽光パネル間のケーブルとケーブルを結ぶコネクタに穴が開き、絶縁不良を引き起こしていた例を紹介する。エネテクがO&Mを受託している出力約260kWの高圧配電線に連系している太陽光発電所における例で、同社が精密点検と呼んでいる年次点検の際に発見した。
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強風で「電線が外れる」、台風で相次いだ想定外の売電停止
エネテク 第23回
今回は、低圧配電線に連系している太陽光発電所で、売電が停止してしまった例を取り上げる。2018年の夏から秋にかけ、立て続けに襲来した台風の強風によって起きたとみられる。
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ドローンの空撮動画で見つかる「太陽光パネルのバックシート剥がれ」
エネテク 第22回
太陽光パネルの「バックシート剥がれ」の起きた発電所を取り上げる。最近、ドローン(無人小型飛行体)による熱分布画像の空撮で発見しやすい不具合の一つとなっているという。
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竣工検査で大量に発見、新型パネルのクラスタ故障
エネテク 第21回
「クラスタ故障」は、不具合によって出力の低下したセル(発電素子)が生じた結果、バイパスダイオードが働いて、パネルの3分の1ごとにわかれている複数のセルの組(クラスタ)ごと、発電を停止している状態を指す。