欧州が先行していた再生可能エネルギーの固定価格買取制度(Feed-in Tariff:FIT)が、日本でも開始後、約1年が経過した。その間、固定価格売電市場という、新たなビジネス・チャンスを捉えようと、メガソーラー(大規模太陽光発電所)の建設に向けた取り組みが活発になってきた。今回の連載では、日本各地で立ち上がり始めたメガソーラービジネスの仕組みや特徴、関連するプレイヤーとその役割、メガソーラーの建設や運営の手法、ビジネス上のリスクや課題、その対策などを紹介する。

メガソーラービジネス
目次
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「企業への再エネ直接売電では、トラッキングがカギ」、CDPの高瀬氏に聞く
メガソーラービジネス・インタビュー
固定価格買取制度(FIT)による売電単価が下がり、今後、企業による再エネの調達が太陽光発電推進のけん引力として期待されている。すでに企業と直接、太陽光電力の長期販売契約を結ぶ「コーポレートPPA」のスキームを目指す動きが水面下で始まっている。
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中国「FIT新制度」がようやく発表、その影響をカナディアン・ソーラー幹部に聞く
メガソーラービジネス・インタビュー
2018年に続き、中国の中央政府による太陽光発電設備の導入に関する政策が、5月末に発表された。前年の2018年5月31日には、年の途中で後から急ブレーキを踏むような制度の変更が発表され、太陽光発電業界全体に大きな衝撃を与えた。今年の固定価格買取制度(FIT)の概要は、前年より1日早い、5月30日に…
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「出力制御率は最大5%、リアルタイム制御が必須に」、京都大学・安田特任教授に聞く
メガソーラービジネス・インタビュー
2018年10月13日に本土で初めて実施した九州エリアの出力抑制(出力制御)は、同年10~11月の合計で7日間だったのに対し、今年3月には16日間、4月だけで19日間に急増した。最も発電量が伸びる時期に売電できず、事業性低下への危惧や九州エリアでの新規開発を見送る動きも出てきた。海外での出力制御に…
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「FITからの自立は太陽光発電事業者の責務」、JSECの東原代表理事に聞く(後半)
メガソーラービジネス・インタビュー
今年2月27日、太陽光発電事業者の業界団体として一般社団法人・日本再生可能エネルギー事業者協議会(JSEC : Japan Sustainable Energy Council、事務局:東京都港区)が設立された。
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「再エネ発電事業者の実情を政府に伝えたい」、JSECの東原代表理事に聞く(前半)
メガソーラービジネス・インタビュー
今年2月27日、太陽光発電事業者の業界団体として一般社団法人・日本再生可能エネルギー事業者協議会(JSEC : Japan Sustainable Energy Council、事務局:東京都港区)が設立された。
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「住宅太陽光の火災は、ユーザーとメーカーが自立するチャンス」、PV-Net 都筑代表理事
メガソーラービジネス・インタビュー
消費者庁は今年1月、住宅用太陽光発電システムから発生した火災などに関する報告書を公表した。これは、安全上のさまざまな課題を突きつけるものとなった。報告書では、推定した発火プロセスの妥当性を検証するために、実際に住宅で使われている製品の状況を確認した。その現地調査に協力した太陽光発電所ネットワーク(P…
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「太陽光発電のO&Mは、特性に合わせた手法を確立すべき」、産総研・大関氏に聞く
メガソーラービジネス・インタビュー
昨年は、集中豪雨や台風に被災した太陽光発電設備が相次ぎ、今年1月には消費者庁が住宅太陽光の火災事故のレポートを出すなど、太陽光のO&M(運用・保守)についての課題が指摘されている。固定価格買取制度(FIT)の改正時に、太陽光の「事業計画策定ガイドライン」の作成に関わった産業技術総合研究所の大関崇氏…
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「政策変更を機に、さらにビジネス拡大を目指す」、高トリナ・ソーラーCEOに聞く。
メガソーラービジネス・インタビュー
中国トリナ・ソーラーは、太陽光パネルの世界的なトップメーカーとしてグローバルに展開している。日本でも昨年、岡山県瀬戸内市で稼働したメガソーラー(大規模太陽光発電所)や同県美作市で建設中の発電所など、国内最大級のサイトに納入するなど、存在感を増している。
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「パネルのコーティングで太陽光の発電量が3%増え、汚れも防げる」、オランダDSMに聞く
メガソーラービジネス・インタビュー
太陽光パネルの出力を、セル(発電素子)の変換効率だけで向上する手法には限界が見え始めてきた。そこで、重要になってくるのは、パネル(モジュール)に組み上げる際の他の構成要素による変換効率の向上だ。
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「2018年も世界トップ」、中国の政策変更後も出荷が増えたワケ、ジンコソーラー副社長
メガソーラービジネス・インタビュー
現時点では、決算(3月上旬に発表予定)に向けた集計中のため、暫定値となりますが、出荷量は約11.6GWとなる見通しです。2017年の約10GWから増え、2018年の当初予想の約11.5GWも上回りました。
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「独自の検査に合格したパネルしか採用しません」、デンケンの太陽光発電事業
メガソーラービジネス・インタビュー
デンケンは、大分県由布市に本社を置き、半導体の検査装置などを製造・販売するとともに、半導体や電子デバイスの試作や製造、検査なども請け負ってきた。固定価格買取制度(FIT)がはじまってからは、太陽光発電事業のほか、EPC(設計・調達・施工)やO&M(運用・保守)サービスにも参入。加えて、新電力おおい…
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使用済み太陽光パネル、「外部積み立てを追い風に、リサイクル技術で革新」、ガラス再資源化協議会に聞く
メガソーラービジネス・インタビュー
さまざまなガラス関連製品の適正処理・リサイクル(材料の再利用)に関わってきた、ガラス再資源化協議会(東京都港区)の加藤 聡代表幹事に、太陽光パネルの回収・リサイクルのあるべき姿や課題などを聞いた。
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「2030年の再エネ目標は現状レベルで十分か? 本気で議論を」、三菱総研の井上・寺澤研究員に聞く
メガソーラービジネス・インタビュー
2012年7月に固定価格買取制度(FIT)がスタートして以来、太陽光発電は大方の予想を超えるスピードで導入が進んだ。一方、それに伴いさまざまな課題も表面化し、法改正やルール変更を繰り返してきた。
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「卒FIT後も居住者にメリット、事業者はビジネスチャンス」、JPEA・増川事務局長に聞く
メガソーラービジネス・インタビュー
2019年11月以降、固定価格買取制度(FIT)による10年間の買取期間が終了する住宅太陽光発電が順次、出始める。こうした「卒FIT」の住宅太陽光では、経済メリットが見通せないことから「2019年問題」とも呼ばれる。この問題をどのように捉えているのか。また、停滞している住宅太陽光の将来像を含め、太…
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グリーンモンスター「クズ」に立ち向かうには? 緑地雑草科学研究所に聞く(第8回・特別編)
メガソーラービジネス・インタビュー
緑地雑草科学研究所(福井県鯖江市)で理事を務める伊藤幹二氏(マイクロフォレスト リサーチ代表)と伊藤操子氏(京都大学名誉教授)に、メガソーラー(大規模太陽光発電所)における雑草対策について聞く連載コラムの第8回。今回は、特別篇として、ツル性の大型雑草で、多くの土地管理者を悩ませている「クズ」を取り…
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「買取総額4兆円を巡り国民的な議論も」、経産省・新エネルギー課の山崎課長に聞く(後半)
メガソーラービジネス・インタビュー
今年7月に閣議決定された、「エネルギー基本計画」では、「再生可能エネルギーの主力電源化」が盛り込まれた一方で、エネルギーミックス(望ましい電源構成)の比率(22~24%)は据え置かれた。経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー課の山崎琢矢課長に、同計画を受けた今後の再エネ政策の方向性に関して聞い…
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「再エネの主力電源化は世界的な流れ」、経産省・新エネルギー課の山崎課長に聞く(前半)
メガソーラービジネス・インタビュー
今年7月、新しい「エネルギー基本計画」が閣議決定された。同計画は3年ごとの見直しだが、今回初めて「再生可能エネルギーの主力電源化」が盛り込まれた。ただ、前回の見直しの際に掲げたエネルギーミックス(望ましい電源構成)の比率を変更しなかったため、再エネに関しては、「主力電源化」と明記されたものの、22…
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中国の政策変更の影響は? トリナ・ソーラーに聞く
メガソーラービジネス・インタビュー
2018年5月末に、中国の中央政府が太陽光発電設備の導入に関する政策の変更を公表した。世界最大の太陽光発電設置市場であることから、その影響に関心が集まっている
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「17円/kWh台で成り立つ太陽光プロジェクトは十分ある」、カナディアン・ソーラーの開発会社
メガソーラービジネス・インタビュー
太陽光パネル大手であるカナディアン・ソーラーは、世界各地でメガソーラーを積極的に開発・運営する企業でもある。同社の場合、日本国内の発電所の開発でも海外で培った多様な金融手法を活用し、2017年にはグループの投資法人が東京証券取引所のインフラファンド市場に上場し、資金調達の手法をより多様化している。国…
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どうなる中国の太陽光市場!?(後半)
「補助金に頼らない太陽光ビジネスに転換へ」
中国政府が今年6月に公表した太陽光発電に関する引き締め策が、世界の太陽光市場に波紋を投げかけている。この政策変更により、メガソーラー(大規模太陽光発電所)の建設は停滞を余儀なくされ、太陽光関連市場の縮小は必至とされている。中国の太陽光発電市場に詳しい、東北大学・未来科学技術共同研究センタの特任教授…