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新型「フィット ハイブリッド」(写真:ホンダ)
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 ホンダが2013年9月6日に発売した新型「フィット ハイブリッド」。燃費が36.4km/L(JC08モード)と、国内で販売されるハイブリッド車では最も優れた値を達成したことが特徴だ。旧型のフィット ハイブリッドに比べて燃費は実に10km/Lも向上し、これまで燃費が最も優れていたトヨタ自動車の「アクア」に比べて1.0km/L上回る。

 ユーザーの反応は極めて良好だ。ホンダが掲げた新型フィット(ガソリン車を含む)の月間販売目標は1万5000台。だが、発売からわずか1カ月の10月6日時点で、累計受注台数は6万2000台に達した。そのうち、ハイブリッド車は実に約7割を占める。ハイブリッド車の好調な受注が全体の数を大きく押し上げた形だ。国内最高をうたう燃費を実現できたことが、フィット ハイブリッドの受注増につながる要因の一つといっても過言ではないだろう。

 フィット ハイブリッドは、ガソリンで動くエンジンと電気で動くモータの双方から、走行するための駆動力を得ている。ホンダは優れた燃費を達成するために、モータを効果的に活用できる工夫を随所に施した。

他の小型ハイブリッド車との比較
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工夫したポイントは大きく二つある。第1に、モータとエンジンを自在に切断、接続をできるようにしたこと。ハイブリッド車は、発進時や低速走行時などでモータ走行を駆使することで燃費を稼ぐのが常套手段だ。だが、従来のフィット ハイブリッドはモータをエンジンに直付けしていたので、モータのみで走行させようとすると、モータの力でエンジンを回してしまい、モータの駆動力はここでそがれた形でタイヤに伝わらざるを得なかった。いわば、モータの駆動力にエンジン・ブレーキがかかった状態だった。今回はモータ走行時にエンジンを切り離すので、駆動力がそがれることがなくなる。

 モータとエンジンを切断できるようにしたことで、車体を減速する際にエネルギーを回生する効率も高まった。ハイブリッド車は減速時、タイヤが回転する力でモータを回し、運動エネルギーを電気エネルギーとして回収する。これが回生だ(なお、モータで生ずる電気エネルギーは電池に蓄えておき、車体をモータで加速させる際に利用する)。減速時にモータとエンジンを切断しておけば、減速時にタイヤが回転する力でエンジンが回ることがなくなり、タイヤの回転力で効率的にモータを発電機として回せるようになる。

 第2の工夫ポイントは、モータの温度を推定できるようにしたこと。これにより、モータを利用する頻度を高めたり、利用時間を長くしたりすることができた。従来はモータには温度センサが設けられていなかったので、安全面を考慮して、モータが適正な温度範囲で動いていると“みなされる”状況での利用にとどめざるを得なかった。結果的に、モータを駆動可能な温度範囲の実力値に比べ、狭い温度範囲で利用していたことになる。今回、モータの温度を推定することで、実力値に近い温度範囲でモータを活用できるようになった。