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新たな市場を切り開く

 生体情報の測定を非接触・非侵襲にすることの利点は、単に患者を苦痛や不快感から解放することだけではない。子供や高齢者、病気などによって拘束や圧迫が難しかった患者の測定を可能にする利点も生まれる。さらには、長期的(連続的)なモニタリングが実現しやすくなるため、病気の兆候の確認や高齢者の見守りなどへの応用にもつながる(図2)。

図2 「非接触」「非侵襲」がもたらすもの
生体情報の測定を「非接触」「非侵襲」にする利点としては、苦痛・不快感からの解放、測定対象者の拡大、長期(連続)モニタリングの実現、などがある。
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 つまり、これまでとは異なる患者や利用シーンへの活用を促し、新たな市場の創出に結び付く可能性があるのだ。むしろ、非接触・非侵襲の測定技術は従来の測定技術を置き換えるものではなく、新たなヘルスケアの市場開拓に寄与するものと言えるだろう。

図3 寝ているだけで睡眠状態(呼吸)を測定
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 オムロン ヘルスケアが2012年5月に発売した「オムロン 睡眠計 HSL-101」は、非接触で生体情報を測定する先行事例とされる機器だ(図3)。寝ている人の周囲1.5m以内のベッドサイドに置いておくだけで呼吸などを計測し、睡眠状態を判定してくれる。具体的には、10.5GHzの電波を寝ている人の胸などに照射し、反射してくる波と入射波の位相差から呼吸などを検知する。アイルランドのベンチャー企業であるBiancaMed社の技術を採用して実用化した。

 これまで睡眠状態の測定には、睡眠ポリグラフ検査(PSG検査)などの手法が存在したが、電極などを体のあちらこちらに装着する大掛かりな測定手法だった。「PSG検査は、その測定自体を意識してしまい、逆に眠れなくなってしまうほど。自然な睡眠状態を測るという市場を開拓したかった」(オムロン ヘルスケア 学術技術部 技術探索グループ 主事の堤正和氏)。発売から約1年、「当初の販売目標を上回るペースで売れている。健康を意識している40代、50代の男性ユーザーが意外と多い」(同氏)という。非接触という特徴が新たな市場を切り開いた好例だ。