日照に優れない日でも発電量を確保

 三交不動産では、今回のメガソーラーの建設に際し、コンサルタントなどには頼らず、できる限り自力で取り組んできた。「ビル、マンションと、発電所の違いはあっても、不動産の開発で培ったノウハウを比較的生かしやすく、不動産会社に向く」(中村氏)と言う。

 太陽光パネルには、ソーラーフロンティア製のCIS太陽電池を採用した。約3万2300枚が設置されている。採用の決め手の一つは、先行して採用していた発電事業者から聞いた実績だったという。メーカーから示される予想発電量よりも大幅に多いというもので、「5MWレベルの発電所でのCIS太陽電池の採用は少ないために、不安はあったが、実際に予想の3割以上多い発電量で推移している」(中村氏)。

 CIS太陽光パネルが優れているのは、朝や夕方、曇りの日などの日照の少ない時間帯の発電量にあるという。

 一般的な結晶シリコン系太陽電池は、ピーク時の出力に向けて、直線的に出力を上げていく。これに比べて、CIS太陽電池は、ピーク時に向けて、緩やかなカーブを描いて出力が上がっていくために、低出力時の落ち込みが少なく、出力では上回るのだという。日射量に限りがある日本では、ピーク出力で発電する日や時間は少ないために、この差が大きく、秋から春にかけても一定の発電量を確保しやすいだろうと期待する。

 設計や建設は、千代田化工建設が担当した。運用や保守は、三交不動産の100%子会社で、ビルやマンションのメンテナンスや警備、管理などを手掛けている三交コミュニティが担っている。

 PCSについては、蓄電池用のGSユアサ製以外はTMEIC製である。PCSでは当初、スイスABB製の1000kW機の採用を想定していたが、信頼性やサポートなどの理由でTMEICに切り換えたという。

 建設費は当初、約20億円と発表していたが、約16億円に抑えることができた。内訳は、発電設備で約12億円、造成などで約4億円である。

分譲住宅地の住民に配慮したPCSの配置

 メガソーラーは、南向きに立地し、その南側には、川が流れている。つまり、太陽光を良い条件で取り込め、しかも、太陽光を遮るような建物が建つ心配がないという、メガソーラー向きの土地といえる。

 太陽光パネルは、地上約70cmの高さから、10度に傾けて設置した。この高さ、角度が、架台の強度やコスト、施工性などのバランスが最適にするものだったという。架台の支柱が短くてすむ上に、作業者は脚立などを使わずに、立ったまま太陽光パネルを設置できる(図5)。架台は、風速36mの風まで想定している。

図5●支柱が短くてすむ上に、作業者は脚立などを使わずに、立ったまま太陽光パネルを設置できるようにした架台
(撮影:日経BP)
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 このメガソーラーの設計でユニークなのは、太陽光パネルが碁盤状にきれいに設置されている中央部に、PCSがまとめて配置されていること(図6)。これは、住宅地に隣接するために、PCSの駆動音や電磁波への懸念に対する住民への配慮からだという。中央に配置することで、太陽光パネルからPCSに接続するためのケーブルが短くて済むという利点もあった。

図6●PCSの駆動音や電磁波への懸念に対する住民への配慮から、中央部にPCSを配置
(撮影:日経BP)
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発電所の概要
施設名 伊勢二見メガソーラー光の街
住所 三重県伊勢市二見町光の街
事業者 三交不動産
発電開始日 第1発電所:2013年4月
第2発電所:2013年8月
発電容量 約5.2MW
第1発電所:約2.2MW、第2発電所:約3MW
施工会社(EPC) 千代田化工建設
太陽光パネル ソーラーフロンティア製
パワーコンディショナー(PCS) 東芝三菱電機産業システム(TMEIC)製、
ジーエス・ユアサ(GSユアサ)製
保守 三交コミュニティ