コストの低下を阻害する「42円組の居残り」

――その一方で、国内の建設コストや発電設備のコストが、円安の影響もあり、ここにきて下げ止まってきているとも聞く。

村上氏 「下げ止まってきている」という事実は認識している。その理由には円安の影響もあるが、輸入部材は太陽光パネルなど限られており、インパクトはそれほど大きくない。

 むしろ「下げ止まり」の最大の理由は、42円の固定買取価格で設備認定を受けた発電所が、まだ発注せずに残っていることにある。現在は、36円の固定買取価格で設備認定を受ける時期なのに、42円の固定買取価格で設備認定を受けた発電所が残っているために、市場では下がるはずの建設や発電設備のコストが下がらず、36円の固定買取価格で設備認定を受けた発電所が迷惑を被っている状況にある。このために、42円の固定買取価格で設備認定を受けた発電所のうち、準備不足など問題のある案件については、早く一掃する必要がある。

 メガソーラーの建設が進み、多くの事業者が経験を積んできており、架台の組み立て方法などでもノウハウが蓄積されてきた。コスト削減でも工夫のしどころが多く、まだコストが下がる余地があると感じてる。それでも実績が下げ止まっている。

 また、大手施工業者は、42円の固定買取価格で設備認定を受けた発電所が残っている状態で、36円の固定買取価格で設備認定を受けた発電所の施工を進めることができない。一度でも36円を前提としたコストで施工に応じると、その後、その36円が前提のコストで自社の施工を受注するように、42円の固定買取価格で設備認定を受けた発電事業者が要求するのが目に見えているからである。このように、未だに土地の確保や建設、発電設備を発注していない、42円の固定買取価格で設備認定を受けた発電所を一掃するのは関連業界の健全な発展のためである。

 さらに、固定買取価格制度の初年度の結果について、設備認定を受けたうちの9割が太陽光であること、その後の発電開始率が約2割と低いこと、固定買取価格の認定の転売を目指すブローカーにビジネスチャンスを与えていることなど、さまざまな指摘を受けているが、これら一つ一つには、すべてそれなりの理由がある。

 まず、太陽光発電が9割を占めているのは、発電所の開発に要する期間が短く、手掛けやすいからである。固定価格をもっと格安に設定していたとしても、恐らくこの比率は変わっていなかったはずである。

 発電開始率が約2割にとどまっているのも、不思議ではない。太陽光パネルメーカーにとって、急に受注量が増えたとしても、それに合わせて即座に工場を新設していたら、その後、過剰設備による経営危機に陥る可能性がある。このため、太陽光パネルメーカーは、競合他社に顧客を奪われない範囲で、納期を延ばして急な需要の増加に対応している。むしろ、このような状況の中で、制度の開始後1年間で、既に約2割も稼働していると捉えるべきである。

 ブローカーの存在そのものも、悪いことではない。土地の所有者と、発電所の開発や建設を担う事業者、発電事業者などの分業化や、それぞれをマッチングするビジネスの台頭は、世界的には当たり前のことだ。

 個人的な意見として、さまざまな指摘や疑念の背景には、固定価格買取制度による太陽光発電事業には、「競争が緩い」というイメージを持たれていることがあるのではないか。こうした社会的な批判は真摯に受け止めたい。