競争が緩い印象を、発電事業者自らが打破すべき

経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー対策課の村上敬亮課長(撮影:清水 真帆呂)
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――こうした、功罪相半ばする現状について、どう思うか。

村上氏 「功」の面は、二つある。一つは、電力事業を自由化し始めて年月が経つにもかかわらず、新規参入は活発でなかったのに、固定価格買取制度で異業種などによる電力事業者への参入が一気に活発になったこと。固定価格買取制度によって、電力事業とは縁がなかった幅広い業種の企業が次々と設備認定を申し込んで実現した。制度の効果は劇的だった。

 もう一つは、異分野の新規参入事業者が、送電線への接続協議を通じて、電力会社と接することが多くなり、悪い意味での電力会社の“異質さ”が社会の中で際立つようになったことである。これは、電力市場にとって画期的な出来事だと考えている。

 「罪」の面は、「功」の面の裏返しになるが、リテラシー(情報の読み取り能力)が不十分な新規参入の発電事業者が多いことである。詳細は専門家に頼るとしても、発電事業者としての自覚を十分に持ってほしい。

 このリテラシーの低さも、電力事業者との接続協議の中で露呈することが多い。接続協議の中で、無効電力、SVR(高圧自動電圧調整器)、SVC(静止型無効電力補償装置)といった、電力系統の運用に関連する専門用語が出てきただけで、困惑する発電事業者まで存在するのである。

 系統との接続協議の場などで、接続方法の工夫を提案するような発電事業者に対しては、電力会社はその提案に応じた対応している。これに対して、知識に乏しく提案力が不十分な発電事業者には、保守的な対応になりがちだ。

 実際には半年間で完了した、数十mの送電線を敷設する工事期間として、当初の見積もりでは2年間と告知したケースも聞いている。100%確実に実現できることを回答する、慎重な企業文化によって電力の安定供給を支えてきた面もあるが、発電事業者がリテラシーを向上して協議に臨めば、電力会社の回答は違うものになる。

 リテラシーの低さにも関連するが、42円の固定価格で認定した発電所で導入された発電システムのコストを集計すると、バラツキが非常に大きいという現状がある。1kWあたりの発電コストで2倍以上の開きがある。

 市場で競争するならば、例えば、情報メディアの分野でも、ある程度、メディアとしての基礎や、プロとしての常識がある中で競争していくことで、メディア全体としてのクオリティが上がっていく力が働いているだろう。リテラシーが低く、能力がバラバラで、かつ、写真報道や漫画、一般的な文字報道まで共存していると、全体としてのクオリティを上げづらくなる。固定価格買取制度による太陽光発電事業は、このような状況にある。

 今後、どのようにこの状況を底上げしていくのかが課題となる。競争によってコストが下がる状態に変えていくためには、やはり発電事業についての知識や努力が不十分な発電事業者は、市場競争に負けて退場していくという段階が必要になる。そのことが、他の分野の企業から見ても、甘やかされていない、競争が厳しい分野であると認識されることになる。

――2014年度の固定買取価格の見通しは。

村上氏 年内には調達価格等算定委員会が開かれ、検討し始めることになる。委員会での判断なのでなんとも申し上げられないが、市場での建設コストが下げ止まっているという状況は認識している。

(後編は、12月17日(火)に公開予定)