発電事業者に求めるリテラシーの向上

――再生可能エネルギーが電力供給量の2~3割を占めるようになる時期が到来すると、一律な力率調整ではなく、電力会社が、それぞれの再生可能エネルギーの発電所のパワーコンディショナー(PCS)を制御することで、柔軟に送電網全体を最適化していく方向になるのか。すでに欧州などでは、電力会社とメガソーラーの間で、このようなオープンな制御が始まっていると聞く。

経済産業省 資源エネルギー庁 新エネルギー対策課の村上敬亮課長(撮影:清水 真帆呂)
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村上 発電事業者が、リテラシー(情報の読み取り能力)を向上して提案型になる必要があると強調しているのは、このような点を含めてのことである。一律な力率調整ではなく、最初から電力会社による遠隔制御を見込んで、コストが多少高いPCSを購入し、電力会社に最低限の出力抑制運用保証を要求するなどといった交渉ができるはずだからである。

――一律の力率調整で対応するのか、PCSの遠隔制御で対応するのか、経済産業省が指針を示す意向はあるのか。

村上 それを経産省が決めたら、競争を阻害して進化を止めることになる。それはやりたくない。そうではなく、発電事業者と電力事業者の双方が提案し、良い知恵を生み出すことで、望ましい競争の環境が出来上がる。

 日本が持つ現状の技術によって、創造的なアイデアが生まれ、現状の送電インフラの中でも、まだまだ再生可能エネルギーの受け入れ可能な容量は上がっていくと予想している。