今回のシリーズは、太陽光発電システムの構築や保守などで知られるネクストエナジー・アンド・リソース(長野県駒ケ根市)の担当者に、メガソーラー(大規模太陽光発電所)のO&M(運用・保守)の状況などについて聞いている。第6回目となる今回は、同社の太陽光パネルのリユース(再使用)ビジネスを通じて蓄積された、太陽光パネルの劣化事例のうち、ハンダ付けの不良に起因するものについて紹介する。

――(当コラムの)前回までの話のなかで、太陽光パネルの不良は、1つのメーカーによる1つの製造ロットに集中する傾向があるとのことだが、なぜ、そういうことが起きるのか。

 実装技術上、最も不良が発生しやすいのが、ハンダ付け周りだ。結晶シリコン型太陽光パネルは、5インチか6インチの四角形のセル(発電素子)を直列でつないでいる。セルとセルは、ほとんどの場合、「インターコネクト」とよばれる銅線を用いてハンダで接続する。こうしてつないだ1列のものを、フレームに沿ったところで折返すために「バスバー」と呼ぶ銅線材でつなぐ。インターコネクトもバスバーもハンダ付けしている。いまだに不具合が出やすい部分になっている。

EL検査でハンダ部の断線が明確に

――ハンダ付けの不良では、どんな症状が出てくるのか。

 セルとセルをつなぐインターコネクトは、1つのセルにつき、2本から4本ある。従って、1本のインターコネクトがハンダ不良で断線しても、2本ある場合はセルの半分、3本の場合は3分の1のセル面積の発電キャリアの導電パスが長くなるだけで、導通は保たれている。発電キャリアはフィンガーバー(セル表面上の電極)に到達すれば発電には寄与するので、症状としてはフィンガーバーの直列抵抗分による損失が増える程度で、パネル全体の出力異常として発見することは難しい。ところが、フィンガーバーがインターコネクトごとに切断されたパターンを持っている過去の製品をEL検査すると、インターコネクト部分のハンダ部の断線が明確にわかる(図1)。この場合、黒く見えるセルの半分は、発電キャリアが届くパスがほとんどなく、発電に寄与しない。この写真では、1枚のパネル内の複数個所に、同じ現象が起きていることに注目してほしい。運用をこのまま続けて、次に断線が起きる個所が片肺状態のセルだったとき、電流パスが完全に途絶え、バイパスダイードのオン状態が続くことで、このパネルの寿命となる。

図1●セルの裏面でインターコネクトのハンダ不良で断線を起こしている中古パネルの例
(出所:ネクストエナジー・アンド・リソース)
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――ハンダ不良の箇所が電気的に抵抗になり、そこが発熱してこげたりすることはないのか

 インターコネクトは、2~4本の配線でつながっているので、たとえ1本がハンダ不良であっても導通は取れていて、発熱することは少ない。だが、バスバーのハンダ不良では黒くこげたような跡が見つかった中古パネルがいくつかある(図2)。バスバー部分は1本の配線でつながっているので、ハンダ不良で抵抗成分が発生すれば、電流値が5A以上あるので発熱する可能性が高い。バスバー不良の例では、発熱によって封止材が変質してガスが発生し、バックシートが膨らむという症状も見られた(図3)。

図2●バスバーのハンダ不良で、茶色く焦げた中古パネルの例
(出所:ネクストエナジー・アンド・リソース)
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図3●バスバーのハンダ不良で、熱によって封止材からガスが発生し、バックシートが膨らんだ中古パネルの例
(出所:ネクストエナジー・アンド・リソース)
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――メーカーは生産工程の管理に力を入れているはずなのに、なぜ、ハンダ不良を完全に無くせないのか。

 まずハンダ付け工程は、いわゆる品質用語の「特殊工程」にあたり、工場出荷時の検査では不良を発見できない種類のものだ。将来的に何らかの不具合が顕在化する可能性があっても、その潜在的な不良を検査によって見つけられない。極端に言えば、ハンダ付けの良し悪しは、ハンダごてで、ハンダを溶かして接着する様子を熟練した作業者がハンダ付けしながら、接着部分の光沢などの状態を観察していないとわからないという面がある。従って、ハンダ付けの作業者のスキルが不十分だと、ハンダ付けの品質に問題があっても、検査でリジェクトできず出荷されてしまう。特定の製造ロットに不良が集中するのはこうした背景があるのではないか。