電気的特性の「差分」をから異常を見つける

――それでは、どのようにして問題となるクラックを見つければよいのか。

 最も確実なのは、温度の違いを可視化できる「赤外サーモグラフィ画像撮影」を使ってホットスポットを直接、観測する方法だ。ただ、この方法の欠点は、十分な発電量がある時に人手をかける必要があるためにコストがかさみ、しかも表面温度を常時監視するわけにはいかないという点だ。

 やはり、現実的なのは、当コラムの第3回で解説した「ストリング監視」だ。ストリングごとに出力電流を監視することで、ホットスポットの兆候を見つけることはできる。ここで重要なのは、図4のように、IV特性の違いはわずかなので、電流の絶対値ではなく、「差分」を観測することだ。同じ構成のほかのストリングとの差や、時間的な経過に伴う変化を過去の値との差から観測することが有効だ。

 ストリング監視によって、怪しいストリングを特定できれば、後はサーモグラフィによって問題のある部分を特定できる。このようにして発電量が低下した劣化パネルを見つけ出し、適切に交換して発電能力を回復させていけば、稼働から20年経っても、当初の80%を大きく超える発電量を維持できると考えている(図5)。

 発電量は、緩やかに減少するように見えるが、すべてのパネルが少しずつ劣化しているのが主な原因ではない。これまで述べたような劣化原因が局所的に発生し、蓄積していくためにそのように見えるのである。そのまま放っておいても大きな問題を引き起こさない現象もあるが、大きな発電量の低下が生じた際に、それを検出して場所を特定し、パネルの交換などの対策を施すことによって発電量を回復できる。

図5●適切なメンテナンスで発電量を維持するイメージ図。監視システムによって見つけた劣化パネルを交換することで発電量が回復する
(出所:ネクストエナジー・アンド・リソース)
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■変更履歴
 1ページの最終段落のクラックの発見方法について、当初記載していた、pn接合部に赤外線を照射してEL検査するのではなく、実際には、pn接合部の発する赤外発光をEL検査で明らかになるため、該当部分を修正しました。また、3ページの図3の下の段落のホットスポットが発生するメカニズムについて、誤りがあり、該当部分を修正しました。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2013/12/26 14:23]