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ケース2:FileMakerで開発した医師の手による無床診療所向け電子カルテ「ANNYYS」

 2013年10月、ORCA(日医レセプトコンピュータ)との連携を標準装備した、FileMakerによるオープンソース電子カルテ「ANNYYS_Developer版」がリリースされた。「ANNYYS」は、2003年1月に発足した「日本外来小児科学会・電子カルテ検討会」が、「いつでも・だれでも・どのようにでも」をコンセプトに医者が使いやすい電子カルテを目指して開発に乗り出したのが始まりだ。

エムシスの秋山幸久氏

 「当時は電子カルテそのものがまだ普及していなかったので、どういうものが電子カルテなのかわからない状態で、最初は画面構成のデザインから開発を始まりました。2006年6月には佐賀記念病院(177床)の総合診療科で導入例があり、その成果としては、(1)診療科ごとに対応したソリューションを用意でき、さらに個々の医師ごとに対応したユーザーインタフェースによる電子カルテを提供できたこと、(2)初めて使う医師にも20分程度の説明で使い始めることができたこと、この2点です」。ANNYYSのメンバーでプログラムの制作・運用を担当したエムシス(本社東京都世田谷区)の秋山幸久氏は、開発の経緯とこれまでの成果をこう話す。

 ANNYYSの基本構造は、ユーザーインタフェースと共有データリソースを完全に分離している点が特徴。さらに、共有データリソース相互の関連性も断ち切っている。「こうした構造にした背景には、電子カルテを止めずにメンテナンスや修理、改修などを実施する必要があります。共有データリソースと分離されていれば、ユーザーインタフェースを改修する際にシステムそのものを止める必要はありません。共有データリソースどうしも分離されているので、障害が他に及んだり、システム全体を止めたりすることを避けられます」(秋山氏)と説明する。

 このソリューションを院内に展開する場合、分離されたユーザーインタフェースにデータリソースとのパスを設定したうえで、診療所内の端末にセットする。こうすることで、その端末を使うグループのソリューションを提供できたり、USBに入れて利用者に渡すことで利用者ごとの展開ができるようになったりする。また、端末が故障した際などは別の端末に普段利用しているユーザーインタフェースをセットすれば、まったく同一のユーザー環境で継続利用できるという利点がある。

ANNYYS_D版は、レイアウト、スクリプト、リレーションを配置したユーザーインタフェースと共有データリソースを分け、データベースの各スキーマどうしも分離した構造を持つ。
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 セキュリティ機能もあらかじめ組み込まれている。ユーザーアカウントとユーザーレベルを組み合わせることで、セキュリティを保てるようになっている。また、電子カルテ三原則である、真正性・見読性・保存性もきちんと担保されているという。

 オープンソースで配布を開始した理由を秋山氏は、「ユーザーが必要な機能を、それぞれのアイデアで実装していくことを考えています。医療関係者、ベンダーを含め一緒に進化させていくことが狙いです」と強調した。