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 「医療機器のイノベーションを加速させるためには、これまでと視点を変え、電子部品・部材メーカーと医療現場が初期段階から連携して開発を進めることが必要だ」――。

 このように語るのは、2013年7月17日に開催する「次世代医療機器サミット2013 ~次世代センサが切り拓くヘルスケアの未来~」において、基調講演「今後の医療・ヘルスケア機器開発の在るべき姿とは ~医療の立場から見た本当の“医工連携”~」を予定する、京都府立医科大学 大学院医学研究科 教授(細胞分子機能病理学)の高松哲郎氏である。


京都
高松氏

 高松氏は、既存の医療機器メーカーに対して、「ある意味で閉ざされた市場にいたため、保守的な思考が比較的強く、イノベーションへの意識が薄いことが多い」と指摘する。そこで、同氏が期待するのが、これまで医療関連機器の開発にかかわっていなかった企業の積極的な参画である。

 具体的には、電子部品・部材メーカーが持つ個別の要素技術と、医療現場の具体的なニーズを直接組み合わせていくことで、新たなイノベーションが起きると踏む。その思いを示したのが、冒頭のコメントである。

光学系の小型化技術を求める

 高松氏は、医療現場の立場から、電子部品・部材メーカーと直接連携を図るために、経済産業省が2012年9月に開催した「医工連携推進シンポジウム」において、医療現場のニーズを提示した。同シンポジウムは、医療現場が抱える課題と、電子部品・部材メーカーが持つ技術を連携させることを狙ったイベント。複数の医療現場から、自ら抱える課題とそれを解決するために求めている要素技術が次々と提示され、それを電子部品・部材メーカーが聞くというスタイルで進められた。

 このシンポジウムで高松氏は、がんのリンパ節転移を術中に迅速に診断できる携帯型機器の実現に向けて、光学系を小型化する要素技術などを求めていると訴えた。リンパ節転移の有無を術中に診断することは、がんの外科的手術の際に欠かせない。しかし、現在の診断方法には課題が多いと高松氏は指摘する。摘出したリンパ節の切片を病理医が顕微鏡で観察する現在主流の方法では、診断時間が20~30分かかるからだ。しかも、限られた切片から診断するため微小な転移を見逃す可能性がある上、病理医自体の数が少ないという課題もある。

ウシオ電機と共同開発に着手

京都
市販の蛍光顕微鏡を改良して自作した装置

 高松氏は、こうした課題解決のカギになる医学的な知見は既に得ていると説明する。特定の物質(5─アミノレブリン酸)をリンパ節転移のある患者に投与すると、がん細胞内に蛍光物質が特異的に蓄積し、赤い蛍光を発することを見いだしたというのだ。この蛍光を検出するため、現在は市販の蛍光顕微鏡を改良し、装置を自作している。これを、小型で汎用的な装置にすることができれば、より迅速かつ正確に、そして患者の近く(ベッド・サイド)での診断が可能になると同氏は考えている。

 そこで高松氏は、このシンポジウムにおいて光学系を小型化できる要素技術などを求めたというわけだ。その結果、数多くの企業からの連携の申し入れがあったという。それらの企業の中から、高松氏は光学技術に強みを持つウシオ電機をパートナーとして選び、共同開発に着手した。「国内の電子部品・部材メーカーが持つ光関連の要素技術のレベルは高い。そうした技術を活用すれば、今回のテーマに限らず、現在の重厚長大な診断装置をより小型で簡便な機器にできる余地はあるはずだ」(高松氏)と語る。