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 小児患者に高度な専門医療を提供する千葉県こども病院は、千葉大学医学部附属病院周産期母性科の医療スタッフとの間で遠隔医療ソリューションの一つであるカンファレンスシステムを運用している。大学病院の周産期母性科を受診した患者で胎児の心疾患などが疑われる症例について、千葉県こども病院の周産期センターの機能を利用すべきかどうかの症例検討に同システムを利用し、適切な治療手段や計画、入院・手術準備に結びつけている。


 千葉県こども病院は、県内小児医療の中枢的役割を果たす医療機関。一般医療機関では対応が困難な特殊で高度な専門的医療を必要とする小児の診断・治療と、それに付随する相談・指導を行う小児総合医療施設として、1988年10月に開院した。2004年には地域医療支援病院の指定を受け、県内全域を対象とした小児の三次医療を担うとともに、小児医療の過疎化状態にある県東部と南部の二次医療を補完する機能も有している。

 2012年3月末には、出生直後から高度な状態管理や専門治療を行う必要があると認められる患者を対象として、主に産科とNICU(新生児特定集中治療室)からなる周産期センターを新たに開設。母体管理病床個室(9床)、MFICU(母体胎児集中治療管理室、4床)、LDR(陣痛分娩室、1床)、NICU(9床)を備え、出産から分娩後の新生児の高度治療を一貫して診る体制を整備した。遠隔カンファレンスシステムは、この周産期センター開設をきっかけに導入したもの。患者(母体・胎児)が、同センターを利用すべき症状であるかどうか、紹介先病院との間で症例検討する際に活用されているものだ。

必要性が高まった遠隔カンファレンスシステム

千葉県こども病院院長 伊達裕昭氏

 遠隔カンファレンスの仕組みを必要とした最初のきっかけは、埼玉県立小児医療センター、静岡県立こども病院と症例を基に意見交換する病院間ネットワークを作ろうという構想だった。「小児の高度な専門医療を行っている同じスタンスの医療機関の間で、実のある意見交換をすることによって治療の成果、医療の質を高めることができると考えています。医療関係者の移動を伴わずに、対面に近いディスカッションを実現する仕組みが必要です。単なるテレビ会議でなく、画像やデータを共有しながらディスカッション可能な仕組みでなければなりません」と、院長の伊達裕昭氏は話す。

 もう1つのきっかけが、周産期センターの開設だ。千葉県こども病院の受診には医療機関の紹介状が必要であり、周産期センターを利用する場合は、まず千葉大学医学部附属病院の婦人科・周産期母性科(以下「千葉大学病院」)の受診・紹介を経ることにしている。「当院の持つ機能を享受してもらうためには、胎児に異常が認められ、出生直後から専門医療を必要とするケースで利用してもらうこと。千葉大学病院の産科と密に連携し、どのような患者さんを引き受けて分娩すべきか、どのような治療が適切か、あらかじめ合同で症例検討する必要がありました。そこで、遠隔カンファレンスシステムが必要だったわけです」(伊達氏)と導入の背景を話す。

 千葉大学病院との連携はこれまでも行われており、特に新生児の先天性心疾患における専門的な治療を担当してきた。「当院で扱う先天性心疾患には、単純なASD(心房中隔欠損)やVSD(心室中隔欠損)は少なく、複雑で重症な心疾患が多い。段階的に高度な手術を必要とするケースがほとんどで、出生前診断の精度を高めることが必要であり、適切な分娩時期の判断を含め診断を産科医に委ねるのは酷な場合も多いのです。胎児の心エコー(胎児超音波検査)を基に、小児の循環器専門医、手術を担当する心臓血管外科医も加わって連携し、診断精度を上げるとともに、治療方針を決定することが重要です」(伊達氏)。

 事前の遠隔カンファレンスは、それを可能にする手段の一つ。カンファレンスに看護師なども参加して治療・手術プロセスを共有することにより、患者への的確な話や対応も可能になる。関係する専門医、看護師など多数が、それぞれの施設・部門に居ながらリアルタイムに症例検討できることに、遠隔カンファレンスシステムの価値があると伊達氏は強調する。

遠隔カンファレンスシステムの画面イメージ。ペンタッチで描画もできる
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