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 パイオニアが医療機器市場に参入する。第1弾として、内視鏡向けのカメラの開発に乗りだす。2012年10月末には、大塚製薬傘下の医療機器メーカーである大塚メディカルデバイスと業務提携することで合意。パイオニアのカメラを用いた内視鏡を共同開発し、大塚メディカルデバイスを通じて2014年に市場投入を目指す。

最大の特徴は「高感度」

 パイオニアは内視鏡カメラの開発に当たり、「HEED-HARP」と呼ぶ技術を用いることで、他社従来品との大幅な差異化を図る考えだ(図1)。HEED-HARPは、同社が開発した冷陰極型の平面電子源「HEED」(high-efficiency electron emission device)と、NHK放送技術研究所が中心となって開発した超高感度光電変換膜「HARP」(high-gain avalanche rushing amorphous photoconductor)を組み合わせたものである。

図1 カギを握るHEED-HARPデバイス
パイオニアは、HEED-HARPデバイスを利用して医療用内視鏡カメラを新たに開発する(a)。 HEED-HARPデバイスは、同社が開発したHEED冷陰極と、NHK放送技術研究所が開発したHARP膜を組み合わせたデバイスである(b)。(図:(b)はパイオニアの資料を基に本誌が作成)
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 図1(b)のガラス側から光が入ると、a-Se(アモルファスセレン)を主成分とするHARPの膜内部で光量に応じたホールが生成される。ホールは、HARP膜内でなだれ状に増幅する。このホールを、HEEDから放出される電子によって中和し、その際に流れる電流を検出することで画像を形成する仕組み。これまでも「NHK技研公開」などの場で披露されており、関係者の注目を集めていた技術である。

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2005年のNHK技研公開で披露されたHARP撮像板

 同技術を用いたカメラ(HEED-HARPカメラ)の最大の特徴は、「高感度」(パイオニア 医療・健康事業開発室 事業企画部 部長の上條博之氏)であることだ。例えば、周辺照度が0.6lx(月明かり程度)の環境でも、デジタル補正処理をすることなく、鮮明な画像を得る実力を備える(図2)。

図2 月明かり程度の環境で観察可能な実力を備える
周辺照度が0.6lx(月明かり程度)の環境で、果物を観察した様子。HEED-HARPデバイスを用いたカメラ(HEED-HARPカメラ)は、デジタル補正処理をすることなく、鮮明な画像を得ることができる。(写真左:パイオニア)
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 こうした特徴を生かすべく、これまでは、暗視カメラなどさまざまな応用を探り、カメラを試作してきた。しかし、どの用途においても現時点まで本格的な実用に至らなかった。
 そこでパイオニアは、新たな応用先として内視鏡に着目。暗い体内を観察するために用いることで、内視鏡に新たな特徴を打ち出せると考えたからだ。この発想を大塚メディカルデバイスに持ち掛け、同社がHEED-HARPカメラの実力に興味を持ったことから、内視鏡の共同開発に踏み切った。