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 小児のための三次医療機関である埼玉県立小児医療センターは、小児救急医療連携で導入されていたテレビ会議システムを利用し、超音波を用いた胎児遠隔診断を近隣産科施設との間で実施している。既存システムを利用し、安価なブロードバンド回線とわずかな設備投資で導入・運用できるシステムだが、2009年10月の本格運用開始から108例の遠隔診断実績を上げ、より安全な分娩と手遅れのない新生児医療を目指している。


 近年の超音波診断技術の進歩により、出生前にさまざまな異常胎児の診断が可能になってきている。産婦人科における超音波診断装置の普及率はほぼ100%近く、ほとんどの妊婦が妊婦健診で複数回の超音波検査を受ける。胎児超音波スクリーニング検査の結果、高次医療機関の専門医に紹介されてくる胎児の例も多い。

埼玉県立小児医療センター循環器科副部長 菱谷隆氏
埼玉県立小児医療センター循環器科副部長 菱谷隆氏

 しかしながら、多くの地域で産科のスクリーニングで異常が疑われ、専門医による検査を紹介する連携体制を確立しているところは少ないのが実情だという。「当センターでは、地域の産科施設に呼びかけて異常が疑われた場合に、外来精査の実施を促すよう活動してきました。特にスクリーニング検査を積極的に実施している産科施設では、産科スタッフが録画した超音波画像をDVDに格納して持ってきてもらい、一緒に画像を検証して診断を下すといった方法もとってきました」(埼玉県立小児医療センター循環器科副部長 菱谷隆氏)と超音波胎児診断における産科施設との連携を説明する。

 専門医による外来精査では妊婦の負担が重くなり、産科施設のスタッフによる超音波画像の持ち込みではスタッフの負担が大きい。こうしたことから、地域の産科施設と連携してICTを活用した超音波画像による胎児遠隔診断を、2009年10月から6産科施設との間で運用している。