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眠っていたテレビ会議システムを遠隔診断に利用

病院の出入り口付近の様子。暖かみのある色調にまとめられている。
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 埼玉県立小児医療センター(300床)は、小児の三次医療機関として1983年に開設され、県内全域の重篤、難治疾患の小児患者に対して専門性の高い医療を行っている。年間の外来患者数は約13万人、入院患者数は約5500人(いずれも2011年度)で、新生児入院棟はほぼ満床状態という。4年後には、さいたま新都心への移転が決まっている。さいたま赤十字病院(632床)と隣接して新病院を建設し、同病院と連携して周産期医療を提供する機関に移行する予定である。

 菱谷氏が超音波による胎児遠隔診断を構想するきっかけとなったのは、2008年の小児循環器学会での遠隔診断システムについての発表だった。「岡山大学病院がMacのiChatシステムを利用して胎児の心エコー遠隔診断を実施した発表に接し、当センターでもできないかと発想しました。それまで近隣の産科施設のスタッフがDVDで超音波画像を持ってきて診断支援をしていましたが、技師に負担がかかっていました。テレビ会議システムが導入されていたので、それを活用して遠隔診断ができないかと考えました」(菱谷氏)。

産科の技師とテレビ会議で会話しながら専門医が遠隔診断やコンサルティングを行う。
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受信した画像に基づいて埼玉県立小児医療センターの専門医が遠隔診断を行う。
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 小児医療センターでは地域の医療機関との小児救急医療の連携を目的として、2004年にNTT-ITのMeeting Plazaというインターネット回線を使うソフトウエア型のテレビ会議システムが導入されていたが、使用頻度が低く撤去も検討されていた。そのシステムを胎児遠隔診断に利用できれば、新たな投資をすることなく運用できると菱谷氏は考えた。

 まず、受信画像の画質検証を行った。小児医療センターとNTT-IT本社との間で光回線を結び、リアルタイム超音波動画と録画画像を送り、さらに送り返した画像と超音波診断装置の撮影画像で比較した。「受信画像はコマ落ちすることなく、心臓の動きの方向性を色づけした動画の色落ちもありませんでした。リアルタイム送受信では、超音波診断装置のプローブの動きに対する受信画像の追従性も良好でした」(菱谷氏)と、十分臨床に使用できると確信を持ったと述べる。