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差異化に尽力する病院

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テグ市に数ある病院の中でも、長い歴史を持つKeimyung University Dongsan Medical Center の外観

 医療観光などの新たな事業を活性化できている背景には、「医療機関の考え方が比較的柔軟で、ビジネス意識が高い」(ITジャーナリストの趙氏)こともありそうだ。実際、日本などに比べて韓国の病院は、ITツールなどを利用した新たな仕組みの導入に積極的とされる。

 例えば、テグ市に数ある総合病院の中でも、開院100年以上の歴史を持つKeimyung University Dongsan Medical Center(慶北大学病院)は現在、遠隔医療に力を注いでいる。韓国では2010年、医療法が改定されて遠隔医療が可能になったものの、遠隔医療を受けられる人は厳しく制限されている。つまり、ほとんどのケースは診療報酬が得られず、“ボランティア”的な位置付けで実施するしかないのが現状である。

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Keimyung University Dongsan Medical Centerにおける、観鬱陵島(ウルルンド)との遠隔医療の様子

 それでも慶北大学病院は、遠隔医療に注力する意義を強調する。「他の病院と差異化するために、実力がある病院だということを見せることが大事だ。その際に有効なのが、ITツールを利用したシステムの導入である」(同病院 Public Relations Team Team LeaderのLee Young Jun氏)。

 なお、同病院には遠隔医療システムを開発するための専門部署がある。現在、利用しているシステムも、独自に開発したものだという。

存在感を高めるSamsung

 韓国では今、Samsung社やLG社といった国を代表するエレクトロニクス企業が、競い合うように医療分野に積極的に乗り出し始めている。こうしたことも、テグ市などの自治体が医療産業の強化を打ち出す背景にあると言えそうだ。

 例えば、Samsung社は2011年2月に、超音波診断装置の大手メーカーだったMedison社を買収して系列化し、Samsung Medison社を設立した。同年11月にドイツで開催された世界最大の医療機器展示会では同社が初出展を果たすなど、医療業界での存在感を徐々に高めつつある。さらに、血液分析装置などの自社開発も進めている。

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2011 Daegu MEDIweekに出展していたSamsung社の「Dr.smart」

 Samsung Electronics社は、前述の2011 Daegu MEDIweekにおいても、2011年2月に販売を始めた「Dr.smart」と呼ぶ医療向けのアプリケーションを展示した。患者情報や映像、回診内容、看護記録などを、GALAXY Tabなどのタブレット端末を利用して、医師がいつでも閲覧できるアプリケーションである。同展示会においては、「テグ市の三つの総合病院への採用が決まった」(説明員)という。