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大分県と宮崎県が共同で掲げる「東九州メディカルバレー構想」が今、新たな医療関連産業の創出に向けた象徴的なモデルとして、にわかに注目を集め始めている(関連記事)。同構想の立案者である、旭化成 取締役兼専務執行役員 医療新事業プロジェクト長の吉田安幸氏(立案当時は旭化成メディカル 代表取締役社長)に話を聞いた。

(聞き手は小谷 卓也)


人が集まって交流する、そのためのツールを作る

――東九州メディカルバレー構想を立案した背景を教えてください。

東九州
吉田氏(写真:山田 愼二)

 東九州は、温泉や海の幸、山の幸などには恵まれている地域ですが、産業のインフラ開発は九州の他の地域と比べても遅れています。では、どんな産業を仕掛けるべきか。幸いなことに、旭化成メディカルをはじめ、血液・血管関連分野では有力な企業が集積しているという財産がありましたから、それを生かそうと考えました。

 2009年6月に、宮崎県の東国原知事(当時)、大分県の広瀬知事にそれぞれ提案したのが始まりです。もちろん「学」の力も必要だということで、東九州地域の複数の大学にもアイデアを持っていきました。すると、面白いほどに問題意識がシンクロし、話が一気に進んでいきました。

 これからの医療関連産業は、国際交流が極めて重要になりますから、(留学生が多いなどの特徴がある)立命館アジア太平洋大学の存在は極めて大きいと感じていました。同大学の協力も得たことで、すべてのピースがそろったのです。

――構想で掲げている血液・血管関連分野は、範囲がやや狭いようにも感じます。

東九州
(写真:山田 愼二)

 とんがった表現をするため、そのように掲げていますが、実際の構想はものすごく広くとらえています。もちろん、血液透析や将来の在宅血液透析の市場拡大などは、それだけでも大きなテーマですが、患者が透析の段階に移行しないための予防医療という観点も、極めて重要になってくるわけです。透析に移行する患者が少なくなれば、医療費の削減につながり、自治体としてもメリットが出てきます。こうした予防医療に向けた取り組みも大きなテーマとして進めていく考えです。

――これから構想を推進していく上で、何が重要だと考えますか。

 決して「ハコモノ」をシンボルにしないことです。大事なのは人材の交流です。東九州を、(産官学医の)業界を超えた交流はもちろん、国際的な交流の場にすることです。そのためには、「ここで学びたい」などといったような、人が集まる魅力的なツールを構築しなければなりません。