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人材育成にも着手

 メディカル事業の強化に向けて、土台固めを図ろうとする試みも始まった。ソニーは2012年3月末、東京医科歯科大学と医療分野の人材育成などに向けたプログラムを開始すると発表したのである。

 第1弾として、既に社内公募などで選定したソニーの若手研究員4名を、2012年4月から東京医科歯科大学大学院の研究生として派遣、専用の教育プログラムを1年間実施する。「エレクトロニクスと医療の架け橋となる人材を育成する」(ソニー業務執行役員SVP、先端マテリアル研究所所長の熊谷修氏)という。

ソニー
2012年3月に、東京医科歯科大学と人材育成などに関する提携を発表した。

 これまでも、特定の事業テーマに対してエレクトロニクス企業と医療機関が連携する例は存在した。一方で、長期的な人材育成に関する連携にまで踏み込んだ今回のソニーの姿勢には、同社のメディカル分野に懸ける強い意志がうかがえる。

3DのHMDを内視鏡手術に

 ソニーと東京医科歯科大学は、人材育成に加えて共同研究の加速も狙う考えだ。主に、技術の活用によって医療を可視化する「ビジュアライズド・メディスン(visualizedmedicine)」の分野に注力した研究を進めるという。同分野に関連する研究テーマに対して、臨床応用を視野に入れた研究サポート・ファンドを設定。医療機器や臨床プロトコルの開発などを加速させる。ソニーが得意とする映像関連の要素技術を生かすことで、医療分野における独自性を打ち出していく考えである。

 今回の発表では、具体的な研究テーマの一端についても明らかにした。例えば、3Dヘッドマウント・ディスプレイ(HMD)技術の内視鏡手術への適用、イメージング(画像解析)技術を活用した新薬の毒性検査や眼科領域での早期診断、などである。テーマによって研究段階はさまざまだとするが、HMDの内視鏡手術への適用については「比較的、すぐに実るだろう」(ソニー先端マテリアル研究所統括部長の安田章夫氏)と位置付けた。

 こうした映像関連技術の医療応用については、パナソニックや韓国Samsung Electronics社などの競合企業も標榜している。さらに、医療の領域へのアプローチを仕掛ける異分野の企業は今、にわかに増え始めている。医療という新たな舞台における競争は今後、ますます激しさを増しそうだ。