医療機関との連携がカギに

その中で行き着いたのが、藤田保健衛生大学でリハビリテーションを専門とする教授だったという。同教授はリハビリテーションの大家であると同時に、自身も歩行に障害を持つ。そこで自らが被験者としてロボットの試作機を使いながら、技術の改良を重ねていった。同教授との出会いが、開発の過程で極めて大きな意味を持ったと、トヨタ自動車は振り返る。
例えば、4種類のロボットのうち自立歩行アシストは、「大腿部姿勢制御センサ」と「足裏荷重センサ」で歩行意図を推定し、膝の振り出しをアシストする機能を備える(表1)。従来は、「障害がある側の足は情報源にならない」という前提で、もう一方の足の動きをまねする手法を採っていたという。

しかし、藤田保健衛生大学との共同開発を通して、「障害がある側の足でも股関節による振り出しは可能であり、振り出しの角度と足裏の荷重から歩行意図を推定できることが分かった」(トヨタ自動車の高木氏)という。これにより、片足装着型の簡易で軽量なロボットを実現できたとする。
こうした医療機関との連携による開発は、今後の製品開発に不可欠と言えそうだ。