青森県立中央病院(青森市)の脳神経センターは、へき地の拠点病院との医療連携における遠隔画像診断システムとしてASP型のデータ連携サービス(infomity連携BOXサービス、コニカミノルタ)を導入し、10施設の連携病院と運用している。20年にわたって運用してきた電話回線による画像伝送システムが老朽化したためリプレースしたもので、双方が手軽なシステムで導入でき、安価なランニングコストでの運用を実現。脳神経外科・神経内科の専門医がいない拠点病院のコンサルテーションに活用し、脳卒中や頭部外傷患者の的確な手術適用判断、搬送指示などに役立てている。
青森県は、脳卒中の発症率が全国トップで、脳卒中による死亡率も全国平均を大きく上回って男性でワースト1位、女性もワースト2位にあり、毎年約2000人が死亡している。東北の冷寒地に見られる塩分摂取過多の食生活、アルコール摂取量の多さ、喫煙率の高さなどが影響しているとされる。そうした脳卒中の疾病環境の中、津軽半島、下北半島、青森市周辺など県北部(背景人口70万人)の地域で、脳神経外科の急性期治療が可能な病院は2カ所しかない。その1つが青森県立中央病院だ。
青森県立中央病院は、県の県立病院改革計画に基づくアクションプランにより、2008年4月に組織改編し、三大疾病の克服として疾病別センターに移行した。その1つが脳神経センターで、脳神経外科、神経内科、脳卒中ユニットを傘下に収め、青森県北部地域の脳卒中を含めた脳神経疾患を関係診療科が協力して診療にあたる体制を構築した。現在は、脳神経外科医6名、神経内科医12名が24時間体制で診療に取り組んでいる。

「脳神経疾患は幅広く、脳卒中はその最たるものですが、内科と外科が協働する部分が多々あります。かつては別々に収容していた患者さんを、診療にかかわる専門医が毎日一堂に会してカンファレンスを行い、循環器専門医やリハビリスタッフも含めてチーム医療に徹するようになりました」。脳神経センター長(副院長)の西嶌美知春氏は、センター化のメリットをこう述べる。
また、県北部の医療過疎地に専門医がほとんどいない現状を受け、「脳血管障害の急性期患者に対応できない医療施設に代わって、患者を集中的に治療にあたらなければならず、当センターは青森県における脳疾患治療の要中の要」(西嶌氏)と、脳神経センターの位置付けの重要さを指摘する。2011年5月からはセンター機能をさらに強化するため、(1)神経難病医療の確保・充実(2)ストロークケアユニット(SCU)の開設(3)脳卒中超急性期治療への貢献(ネットワーク構築、公開講座、教育活動)(4)脳血管内治療の強化(5)臨床神経生理機能検査の強化(6)画像診断の地域支援を重点項目として取り組み始めた。この中の脳卒中超急性期治療への貢献(ネットワーク構築)、画像診断の地域支援を支えるために導入したのが「infomity」の連携BOXサービスで、2010年2月から運用を開始している。