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 共立湊病院(静岡県南伊豆町)は、携帯電話向け半導体などを手掛ける米クアルコムの日本法人クアルコムジャパン、アジア諸国民の健康増進に寄与することを目的に活動するというメディカル・プラットフォーム・エイシア(以下、MedPA)と連携。患者が自宅で測定した血圧を携帯電話回線(3Gパケット網)で送信して、同病院で血圧を管理する実証実験を実施している。高齢者の高血圧症患者が多く、病院へのアクセスが不便な南伊豆町とその周辺地区にとって、在宅で手軽に継続的な血圧測定ができ、その測定結果を主治医と一緒に管理できるようにすることで、生活習慣改善などの効果が期待できる。


静岡県南伊豆町の共立湊病院。高齢率が高く、地形や交通手段などにより通院困難な患者が多いという。

 共立湊病院がある南伊豆町をはじめ、下田市や河津町などが属する賀茂医療圏は、高齢者の占める割合が全国平均を大きく上回る超高齢化地区だ。賀茂医療圏の総人口は約7万8000人、それに対して65歳以上が占める割合は31%と、日本全体(約23%)を大きく上回る。南伊豆町や西伊豆町では約35%に達している。高齢者が多い地域は、高血圧、高脂血症、糖尿病などの生活習慣病患者が非常に多いという問題を抱えている。また、高齢者夫婦・単身世帯も多く、生活習慣の改善などもままならない状況という。

実証実験について話す共立湊病院院長の杉原弘晃氏。

 その賀茂地区の中核病院である共立湊病院は、1997年に南伊豆町や下田市など7市町(現在は6市町)が共同で設立した共立湊病院組合が、同病院の前身である国立湊病院の移譲を受けて開設者となった。1997年からは地域医療振興協会が指定管理者となって運営してきたが、2011年4月からは医療法人社団 静岡メディカルアライアンス(理事長:杉原弘晃氏)が新たな指定管理者となって運営を引き継いだ。

 診療科は内科、外科、整形外科、婦人科、麻酔科で、一般154床を有し、賀茂医療圏の急性期医療を担うとともに療養型病院としての機能も果たしている。現在、常勤医3人、非常勤医4~5人、約90人の職員が在籍する。また、敷地内には介護老人保健施設「なぎさ園」を併設している。

 2012年5月には下田市内に下田メディカルセンター(154床、診療科11科、職員数約200人)を開設する予定で、同地区の救急および急性期医療を担っていく。それに伴い、現共立湊病院は診療所機能に特化し、静岡メディカルアライアンスが下田市内で運営する西川クリニック、しらはま中央クリニックとともに1病院3診療所体制で地域医療を支えていくことになる。