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オーダリングシステムと連携し、データ管理の一元化を実現

 こうして採用医薬品集の更新に多くの労力をかけても、情報の鮮度は必ずしも満足できる環境ではなかった。そこで同病院は約1年間の検討・導入作業を経て、2003年10月に日本ユースウェアシステムの医薬品情報統合システム「JUS D.I.」の運用を開始した。

 廣井氏がDI管理システムに求めた要件は、医薬品の一般名と商品名の両方が表記され、禁忌情報や相互作用情報などが容易に検索できること。更新頻度が高く、情報の新鮮度が確保できること。オーダリングシステムからも必要な情報にアクセスできることなどだったという。

薬剤情報を表示した画面
薬剤情報を表示した画面

 「禁忌情報や相互作用情報などは情報更新があったときに早く反映しないと意味がありません。情報が毎日更新されることにJUS D.I.の魅力を感じました。また、医師が薬を処方するときにオーダリングシステムからでも医薬品情報を参照できれば、情報検索が楽になるとともに記憶に頼ることなく禁忌や投与量などを確認できます」(廣井氏)。

 医薬品情報のデータ管理については、JUS D.I.の導入によって情報の共通化・一元化が図られた。具体的には、導入前は、オーダリング・薬剤科処方監査・医薬品入出庫・医事会計など、各システムが独自の薬品マスターを内蔵しており、しかも管理コード(キーコード)が異なっていたため、手入力でデータを登録管理する必要があった。部門ごとのシステムにより同じ薬に違う番号を割り当てているような状態だったため、無駄な再入力作業を強いられていたのだ。それが、JUS D.I.のMEDIS形式準拠テキストファイル出力機能を活用することによって、各部門共通のデータとして管理・運用できるようになったのだ。

薬剤科と病棟・外来双方でさまざまなメリットを享受

 JUS D.I.を導入してDI担当者にとって最も業務の効率化を図れたのが、院内医薬品集の管理作業だ。以前は製薬会社の統合・合併に伴う会社名の変更作業だけでも膨大な作業時間を費やしていたが、導入後はほとんど時間を要しなくなった。毎月のメンテナンスも数時間で済むほど。また、毎月発行するDI誌の編集作業をはじめ、医薬品採用申請書など医薬品集以外の資料づくりも短時間で行えるようになったという。

薬剤科の部屋は書類も少なく整然としている
薬剤科の部屋は書類も少なく整然としている

 「以前は採用申請書を作成するにも、一薬品ずつ情報をExcelに入力していたものが、同効薬の情報や添付文書情報などすべてをワンクリックで抽出できるので作業時間は大幅に短縮しました」(廣井氏)。

 導入から3年半の間に、JUS D.I.が従来から有してあるいくつかの機能を改善して使い勝手を良くしていった。そのひとつが、医師がより使いやすい「PDF版の項目別医薬品集」の作成だ。もともとJUS D.I.には、医薬品添付文書情報の中から、必要項目だけを抽出して、任意の項目を編集した後、薬効分類名順にソートして目次とともにPDFファイルを作成する機能があった。新しいJUS D.I.の医薬品集作成機能では、大きく2つの改善が加わっている。

 1つは、編集機能。それまでは、改訂されてしまうと編集した内容も無条件に上書きされてしまうため、実質的に添付文書どおりの記載のまま医薬品集を作成するか、毎回同じ編集を繰り返す必要があった。今回では、前回、医薬品集を作成したときに編集した箇所で、添付文書の改訂があった部分だけをピックアップして再編集する機能を付け加えられている。

 もう1つは、従来から抽出する項目は任意に選択することは可能だったが、抽出項目のパターンを1種類しか保存できなかったので、目的に応じて抽出する項目を変えたい時には不便だった点を改善して、抽出項目のパターンを5種類まで保存できるようにした点にある。

 上記の改善によって、医師ごとのリクエストに合わせ、必要な項目だけを抽出して再編集し、コンパクトなファイルに変換して取り込める柔軟でより多様なPDF版項目別医薬品集を作成できるようになった。この、“より多様なニーズ”に則した医薬品集が作成できるようになったことで、今後この機能を大いに利用しよう、と薬剤部では期待している。

 また、薬剤師が独自に持っている情報を病棟の医療現場で活用できるようになった点も大きなメリットといえよう。同病院では、抗がん剤のプロトコールチェック表や簡易懸濁法が使えるかどうか、あるいは薬剤の説明書など薬剤科や薬剤師が持っている情報をJUS D.I.に取り込んでおり、それらの情報を医師や病棟看護師が利用できるようになっている。

 「例えば、患者さんに処方した薬品の説明書を渡していますが、その際に薬剤師が通常、薬品の説明をするときにどういう言葉で説明しているか看護師も共有できるため、確かな情報を患者さんに分かりやすく説明できるようになりました」(廣井氏)。