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医療情報の院内連携を活かした業務効率化と患者サービス向上を実現

 充実した総合医療情報システムよる情報の一元化がもたらす効果は大きいが、その一例として電子カルテとモダリティデータの完全な連携がある。放射線科医は検査画像の読影に際して、カルテ情報を知りたいことは多々ある。同一端末上で画面を切り替えて電子カルテにアクセスできることは大きなメリットである。一方、患者担当医にしても、いつでも容易に診断画像を呼び出せることは、診察はもとより、患者に対する症状説明においても大きな意味がある。

すべての診察室に医療用高精細ディスプレイを配置し、担当医師が単純写真の読影を行える
すべての診察室に医療用高精細ディスプレイを配置し、担当医師が単純写真の読影を行える

 担当医の読影環境における同病院の特徴の1つに、外来および病棟診察室のすべてに電子カルテ用カラーディスプレイの他に、約100台の医療用高精細ディスプレイを配置した点がある。導入したディスプレイは、10.5ビット(1,051階調)モノクロ2Mピクセル(20.1型)で、スムーズな階調表示と幅広いレンジでの忠実なイメージ再現ができる。

 「当院の放射線科で読影にあたるのは主に3名。血管造影、CT、MRIデータの読影でほぼ手一杯であり、単純撮影の読影に手が回らないのが現状。レントゲンの読影で患者さんを待たせるのであれば、診察室で各担当医師が読影してもいいという考えで、各診察室に高精細ディスプレイを導入した」(伊藤氏)という。各医師に対しては、配属時の電子カルテ操作研修時にビューアソフトの操作研修を行う他、放射線技師によるDICOM画像についての講習会を開催し、読影技術の向上に努めている。

 放射線科医の読影室以外に医療用高精細ディスプレイを導入するケースは珍しく、すべての診察室でも高度な画像診断ができる環境を整えた。単純写真の読影で患者を待たせないことに加え、救急患者の画像診断においても当直医だけでなく、他の医師に電話連絡して、その場で身近にある高精細ディスプレイで見てもらい意見が聞けるというメリットもあると、伊藤氏は指摘する。

 患者サービスの向上という点では、自動会計システムによって患者を待たせない仕組みも特徴だ。予約制による再来院自動受付機の導入はもちろん、初診対面受付の運用にも工夫がある。例えば、「初診受付で紹介状のある・なし」、「3カ月経過しての再来である」といった内容は医事課が初来診オーダーで入力するが、初診料、紹介料、指導料など診療報酬にかかわる情報は、医事会計システムであらかじめ登録した規定値を初再診オーダに反映させ、医師が診察後に登録ボタンを押すだけで入力できるようにした。患者は診察を終了したらそのまま自動入金機に直行して、支払窓口で待つことなく離院することができる。

 「電子カルテと初再診オーダーを連携させることで、診療報酬発生現場で入力するため、会計での患者さんの待ち時間をなくしたことは、患者さんのストレスを少なくすることに寄与しているはず」(伊藤氏)と、導入の効果を述べる。

ナースセンターには大型ディスプレイが設置され、患者ごとの指示内容を表示。進捗状況も把握できる
ナースセンターには大型ディスプレイが設置され、患者ごとの指示内容を表示。進捗状況も把握できる

 また、病棟における看護支援機能として、ナースセンターに設置された大型プレイも他に例のない仕組みだろう。一般的には、入院患者に対するその日の指示がある場合、検査や注射、処置内容などをホワイトボードに掲示したり、一覧表にしたものを壁に貼り付けたりすることが多く、ナースセンターが雑然とする上、指示が見落とされたり危険性もある。同病院では、リーダー・ナースがオーダリングの一括指示受け画面で確認して、それぞれ担当ナースに伝達・進捗をチェックするとともに、一日のワークシートを配布しているが、それに加え、その日の指示を患者ごとに一覧化し、40型液晶ディスプレイに掲示する仕組みを取り入れた。

 ディスプレイに指示される指示内容は、独自に開発したシステムが30秒ごとにオーダリングシステムに問い合わせに行き、患者ごとのイベントを随時更新する。実施した場合も端末から看護師が入力すると、ディスプレイ上に済みマークが表示され、進捗状況も把握できる。これにより、看護師の業務の円滑化・効率化が図られるとともに、指示履行の徹底が促進された。

DPCを見据えたデータウェアハウス、経営管理システムとの連携

 病院経営の改善、経営の効率化を主目的として経営管理システムとの連携や統計データウェアハウス(DWH)の構築も重要な点である。DPC制度へ対応するために、経営管理は部門別、診療科別、疾病別、患者別といったより細かなレベルで実施する必要がある。

 医療用のDWHでは、院内で発生する各種情報(患者情報、診療情報、指示依頼・実施情報、診療報酬基本情報、医事会計統計情報など)から分析用データベースを作り、患者の症例別診療行為データの抽出や患者別診療原価計算などさまざまな角度から検索・分析できる。診療支援・経営支援に役立つ情報の分析などに積極的に活用することで、さらなる業務改善や物品管理の精度の向上などに役立てられる。

 「経営的視点、医学研究的な視点においてもDWHによる分析は重要。今後は、財政的な裏付けを得るため、あるいはシミュレーションを行うためにデータを活用していきたい。DPC導入の際は、DPC調査データを活用して、同院と聖マリアンナ医科大病院とのベンチマークや症例ごとの分析も可能になり、効果的な診療業務を実現できるだろう」(山口氏)と期待する。

 今後推進していく課題としてネットワークを利用した地域医療連携がある。同病院では登録医との医療情報の共有や、医療連携を進めるためにインターネット技術を前提とした情報連携の環境を構築した。セキュリティを確保するため院内の基幹情報システムとは直接接続せず、連携情報のみをいったん院外情報連携用サーバに移して共有しようというもの。山口氏は、「今後は、近隣の開業医との連携を強化し、地域に密着した病院運営を目指したい。それを視野に入れた基盤整備をすすめている」と結んだ。

総合医療情報システム
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川崎市立多摩病院

■病院概要
名称:川崎市立多摩病院
住所:神奈川県川崎市多摩区宿河原1-30-37
病床数:376床
特徴:24時間365日の救急医療・小児救急医療・災害時医療を主軸とする、急性期医療を担う中核的な医療機関。川崎市北部の医療ニーズに的確に応えるため、救急災害医療センターをはじめ多様な診療施設や、患者との対話を通じて真の医療サービスをめざす医療相談センターも設置。
Webサイト:http://www.marianna-u.ac.jp/tama/