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 健伸幼稚園とビオスピクシスは、ITを活用して園と家庭での子供たちの健康・食事・生活などを毎日記録することで、健康的な生活を支援する「Kids Life Log」プログラムの実証実験を行っている。日々の体温、活動量などの健康記録や食事内容・摂取量などの食事記録、睡眠や入浴状況といった生活記録を、ITを活用して園と家庭で共有し、親と教員に健康的な生活のための「気付き」を喚起するのが狙い。実際、食事の偏りなど多くの気づきが得られたという。活動量の記録にはコンティニュア対応機器を利用している。


木材がふんだんに使われている幼稚園舎の内部

 健伸幼稚園(千葉県船橋市)を運営する学校法人健伸学院は、1971年に健伸教育研究所として発足。74年に健伸幼稚園を、76年には同市行田に健伸行田幼稚園を開園した。両園を個性と個性が触れ合う「育ち合う広場」と位置づけ、自然との触れ合いや遊びを通じて夢や意欲を育むという教育方針を掲げている。

 健伸学院は、「自然に触れて・体験して・チャレンジする」ことをテーマにキャンプなどの各種行事を行う「キッズビレッジ」のほか、小・中学生を対象とした体操競技選手育成コースなどを運営し、全国の競技大会で活躍する選手を輩出している。

健康生活支援のため、身体・食事・生活状況の関連を探る

 健伸学院理事長の柴田炤夫氏は、「子供は“自ら育つ力”を秘めている。“育つ力”は子供自身の強い意志と意欲そのもの」という持論を持つ。ただし、子供自身が本来持っている意志や意欲は、健康状態や生活環境などによって変化する。主に、生活リズムの目安の1つである「機嫌」に左右されるという。

開園時間には、子供たちがかけずり回っている幼稚園の園庭

 子供の「機嫌」は、精神的な面だけでなく、健康状態や活動性、食事内容などに大きく影響される。柴田氏は、「元気よく遊ぶ子供が、家でどのような食事、生活をしているか。よく食べた日と食べない日で子供の活動にどんな影響が出るか。日々の記録からそれらの因果関係を探ることで、健康的で機嫌のいい生活を支援したいと考えました」と、実証実験に取り組んだ背景を説明する。


 実証実験の第1弾として、2010年9月下旬から10月初旬に、年長園児6人を対象に、園と家庭の両方で、園児の健康・生活状況を記録して結果を分析した。記録したのは、健康記録として体重と歩数、不調内容として便秘、下痢、嘔吐、喉の痛み、頭痛、発熱など。食事記録として、主食や野菜、おやつ、飲み物などの内容と量。生活記録として、睡眠や遊び・運動、入浴の様子と時間、歯磨き、うがい、手洗いなどの衛生状況など。加えて、子供の様子などを自由に入力してもらった。歩数計を用いたことについて柴田氏は、「子供の健康・成長において、活動の量と質は重要な指標です。歩数は活動状況を測るために利用できると考えました」と動機を説明する。

家庭では子供の生活状況、幼稚園では活動状況を記録

 園児の健康管理・生活記録を行うツールとしては、実証実験を企画したビオスピクシス(東京都新宿区)が開発した「幼稚園児向けKids Life Logプログラム」を利用した。このソフトウエアはSaaS型(ネットを介して必要な機能だけを利用する方式)アプリケーションで、健康記録(身長、体重、体温、不調内容など)、食事記録(主食、野菜、おやつ、飲料など)、生活記録(睡眠、遊び、入浴など)といった項目をチェックボックスで選択して入力する。記録した内容は見やすいタイムライン一覧表示(または選択表示)でチェックできるなど、視覚的に状況を把握できるように工夫されている。例えば、摂取した食物の量や子供の元気度などは、キャラクターの大きさで3段階表示される。1日分は10分ほどで簡単に記録できるという。

「幼稚園児向けKids Life Logプログラム」の画面例

 ビオスピクシス社長の仙波修氏は、「最近話題になったレコーディングダイエットは、自分の食べたものを記録するだけでダイエット効果があるとされています。それと同じように、毎日の生活状況を記録することで、生活状況の把握と改善のための“気付き”を生むことを狙いとしています」と説明する。Kids Life Logプログラムを利用することで、子供の不調の傾向や予兆と、生活行動や食生活との因果関係など、さまざまな“気付き”が得られることを期待しているという。