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データの二次活用が今後の課題

 電子カルテの導入によって、スタッフ間の情報流通がスムーズになるとともに、患者の状況や指示の共有が可能になったことが大きな効果だという。「紙カルテのようにカルテ移動の必要性がなくなったことで、外来診察時に病棟患者に対するオーダーも、その場でカルテにアクセスしてできるようになったほか、書類作成でもいちいちカルテを取り寄せる必要もなく、業務の無駄がなくなったと感じています。もちろん、手書きのオーダーと違って、指示を受けたときのケアレスミス防止にもつながっています」(澤井崇博氏)。

各診察室には2面構成のモニタ(左2面)を配置し、電子カルテと連携する
各診察室には2面構成のモニタ(左2面)を配置し、電子カルテと連携する

 また、PACSの導入に伴って、各診察室には2面構成のモニタを配置し、フィルムレスにするとともに電子カルテとの連携を実現している。これにより、院内でのフィルム出力がなくなり、フィルムにかかわるコスト削減や可搬に伴う時間と労力の無駄がなくなり、患者の待ち時間の短縮と診療業務の効率化に寄与している。このPACSは医用画像の管理だけでなく、診断書や紹介状など定型書類をスキャニングして同じデータベースに保存している。通常は書類保管・共有のために文書ファイリングシステムなどを構築するが、簡易的な定型書類の保管手法としてPACSのユニークな使い方といえる。

 システムの導入は、こうした効果の他に看護業務や介護業務でも業務効率の向上に寄与し、サービスの質向上にも寄与している。しかしながら、医療のIT化の最大のメリットは、診療の質と経営の両面におけるデータの二次的な活用によるメリットだと強調する。

 「経営者としての立場からすると、当病院が他の病院と比較して経営的に優良なのかどうか、さまざまな指標データから検証する必要があります。IT化の効果は、そうしたデータの二次的な活用が進むかどうかです。現時点では、医業経営に必要な指標データを抽出するだけの機能が不十分で、ベンダーに要望を出している状況です。容易にデータを抽出・分析できる環境が整い、活用していくことが今後の最大の課題です」。理事長として澤井博司氏は、医療ITシステム活用の課題と今後の展望をこう強く語った。(増田 克善=委嘱ライター)


医療法人社団 博慈会 青葉さわい病院

■病院概要
名称:医療法人社団 博慈会 青葉さわい病院
所在地:横浜市青葉区元石川町4300
診療科目:整形外科、内科、リハビリテーション科
病床数:一般病棟(40床)、回復期リハビリ病棟(34床)、医療療養病棟(60床)、介護療養病棟(56床)
Webサイト:http://www.aoba-sawai.or.jp/
導入システム:ワイズマン「電子カルテシステムER」「病棟看護支援システムER」「リハビリ管理システム」「メディカル介護システム」「医療事務管理システム」ほか
ワイズマンのWebサイト