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鮮度が落ちれば情報ではない、更新頻度が採否の決め手

 JUS D.I.の選択に至るまでの経緯を高畑氏は次のように説明する。

 「薬剤科および情報システム室では、8社が市販するDIシステムのパッケージ製品を多角的に比較検討した。選定の際に重視したのは、使い勝手のよさと、情報がタイムリーに得られること。自動更新の頻度が採用の成否における決め手になった」(高畑氏)。

 「JUS D.I.以外の他社製品は、いずれも月1回の更新頻度だった。これでは、月1回のデータ更新日の翌日に、新たな情報が加わってしまう場合、それを見るのにさらに1カ月近く待たなくてはならない。鮮度が落ちてはもはや情報とはいえない」(同氏)。

 システムの導入にあたっては、利用者の声を反映した。薬剤の組成や販売名、重大な副作用や禁忌項目、効能・効果の情報は必ずすぐに見られるようにした。さらに詳しく知りたいと思えば、添付文書は画面上にすぐに呼び出せる。利用者の求める情報をタイミング良く提供する仕組みができた。

持参薬も画面上で患者と確認でき、対応が適切になった

「レセプトの時期だと適用病名をつけなければいけない。医薬品を調べるときに重宝している」と言う伊東氏
「レセプトの時期だと適用病名をつけなければいけない。医薬品を調べるときに重宝している」と言う伊東氏

 今回、同院が販売元のスズケンに対して出した要望がある。それは、院内製剤のDIとJUS D.I.との連携だった。最新バージョンのJUS D.I.にはすでに実装済みだが、同院では本採用、仮採用、緊急採用などと同列に、院内製剤をJUS D.I.の画面からも、HIS側からの薬剤情報表示の表示画面からも、双方で表示できるようにしたのだ。こうして生まれたのが、同院独自の検索システム(以下、新DIシステム)である。

 「院内製剤の成分や用法・用量が専門外の先生でもわかるようになった。たとえば手術で内服薬を飲めない場合に、坐剤をいくつ使用すればいいか……、などが検索でわかるようになった」(高畑氏)。

 新DIシステムに対する医師や看護師ら利用者の反響も大きかった。利用実態と問題点を抽出したDI検索に関するアンケート調査結果にそのことが表れている(アンケート回収率48%)。

 調査結果によると、「医薬品の情報を得る方法」はDIシステムがいちばん多く71%を占め、新DIシステムは92%の医師が利用していた。

 「レセプトの時期だと適用病名をつけなければいけない。たとえば内科の医師はなぜこの薬を使ったのだろうか、といった場合に医薬品を調べるときに重宝している」と述べるのは、脳神経外科部長の伊東正太郎氏だ。

JUS D.I. の一画面。医薬品が画像で表示されるので医師や看護師には重宝されている
JUS D.I. の一画面。医薬品が画像で表示されるので医師や看護師には重宝されている

 「薬剤科においても、添付文書をほしいなど薬の問い合わせに対する仕事の量は、新DIシステム導入前と比べて減った」(高畑氏)。添付文書も画面上で閲覧できるので、紙の出力量が減り、ペーパーレス化が進んだ。印刷したい場合も、デスクトップPCに付属のプリンタを使えばその場ですぐに出力できるので待たされない。

 さらに、その後のJUS D.I.のバージョンアップによって、持参薬管理表/鑑別報告書作成機能が新たに加わった。

 「患者に『2年前に処方された桃色っぽい色の錠剤がよく効いたのだけど』と言われると、ロキソニンかポンタールかな、と察しがつく。そこで、販売名などで検索すると、剤型も一緒に見られる。JUS D.I.はあらかじめ剤型を登録しておけば、画面上で患者と一緒に確認できるので話が早い」(伊東氏)。

 数百ページもある医薬品集を患者の前でめくらずによくなっただけでも、患者から医師に対する心証が良くなり、信頼してもらえるという。

 「薬価も表示されるので、価格が適正であることを患者に伝えることができる」(伊東氏)。