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ネットワークはライフライン

 もう一つの理由である「止まらないネットワーク」も人命を預かる病院には絶対不可欠。「ネットワークが止まったら、病院の機能が停止する。まさに、ネットワーク自体が病院のライフラインとなっている」(杉本准教授)からだ。

 病院内では、各部署が扱う様々なデータが連携している。例えば、医師が薬の処方を出したら、薬剤部へ処方のデータを流す。このデータを基に患者に薬を出し、保険請求のデータベースに記録するといった具合だ。システム停止などの原因で「薬を患者に出しているのに、システム上では出していないといったデータの不整合が起きることは許されない」(永田教授)。

 こうした高速で止まらないネットワークを実現するには、ERS8600が備える独自の冗長化機能「SMLT(split multi-link trunking)」が適していたという。SMLT機能を持つ複数のスイッチを連係させると、帯域を増やせるほか、障害が発生したときにスイッチを切り替えて、接続性を維持できる。切り替え時間は1秒以下だ。

 冗長性を持たせるには複数の経路を用意したうえで、ループを防ぐ「スパニング・ツリー」を導入する方法が一般的だが、「その場合は冗長経路が(通常時は)使われない。SMLTでは冗長性を持たせて帯域も2倍になる。投資の成果が得られる」(杉本准教授)。

外部監視用のサブネットを構築

 24時間止まらない病院システムの運営には、監視体制の強化も重要だ。ただ、患者のデータを扱う病院内ネットワークに外部から接続することは、一切許可されていない。そこで、病院とは別のサブネットとなるLANを構築し、このネットワークにスイッチの制御端子を接続した。こうすることで運用委託先である富士ゼロックス京都は、病院のネットワークに入ることなく外部から稼働状態を確認できる。

 現状の課題はWindows端末が院内に不足していること。これを解消するため、同病院はLinux端末の導入を検討している。従来、医療情報の表示システムはWindows用アプリケーションだったが、現在はJavaで開発しており、Webブラウザで表示できる。「オープンソースのLinuxやオフィスソフトに切り替えれば(ソフトウエアのラインセンスが不要となるため)、端末は大幅に増やせる」(杉本准教授)。コストを重視しながら、医療システムの拡充を継続する計画だ。(松元 英樹=日経コミュニケーション

図1●滋賀医科大学医学部付属病院のネットワーク構成
新設したD病棟への帯域を増やすため、レイヤー2/3スイッチのシャーシを交換した。ノーテルのERS8600シリーズを4台構成で使っており、そのうち2台のシャーシを従来の6スロットから10スロットへと大型化した
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■病院概要
名称:滋賀医科大学医学部附属病院
所在地:〒520-2192 滋賀県大津市瀬田月輪町
病床数:608床
診療科:循環器内科、小児科、整形外科、放射線科、呼吸器内科、精神科神経科、脳神経外科、歯科口腔外科、消化器内科、皮膚科、耳鼻咽喉科、形成外科、血液内科、消化器外科、母子・女性診療科、内分泌代謝内科、乳腺・一般外科、泌尿器科、腎臓内科、心臓血管外科、眼科、神経内科、呼吸器外科、麻酔科・ペインクリニック科
Webサイト:http://www.shiga-med.ac.jp/hospital/

■ネットワーク・プロフィール
4台のレイヤー2/3スイッチをノーテルのSMLT技術で冗長化。病棟の各階に置かれたレイヤー2スイッチとギガビット・イーサネットで結ぶ。