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継続運用に向けたビジネスモデルを模索

IPフォンと一体化した小型のデスクトップ型端末を設置している様子(ツルハドラッグ恵み野西店・北海道恵庭市で撮影)

 これまでの実証実験では、テレプレゼンスを活用した遠隔健康相談の有効性が明らかになりつつある。ただし、実際の運用では継続性の観点からビジネスモデルをどう構築するかが大きな課題となる。「会社の理念の下、『ドラッグストアのヘルスケアホットスポット化』を目指しているとはいえ、赤字の垂れ流しでは継続は不可能。何らかのビジネスモデルで収益を上げることが重要でしょう」(後藤氏)と指摘する。その1つとして同社は、自己採血による健康管理の実証事件を開始し、その結果を遠隔健康相談と連携させようという試みを行っている。

 2010年10月に始めた「自己採血で自己管理」と称するサービスは、来店者が薬剤師の指導のもと、自己採血と51項目にわたる健康生活調査(アンケート)に回答し、検査機関の結果と医師の所見や食生活・運動などに関するアドバイスを利用者にフィードバックするもの(実証実験期間中は2625円で実施)。「自己採血の結果に基づいてHNSで遠隔健康相談を受けられれば、相談内容をこれまで以上に充実させることが可能でしょう。今後は、自己採血サービス以外にもさまざまな自己検査キットによるサービスの提供と、遠隔健康相談とをセットにしたビジネスモデルを模索していきたい」(後藤氏)と語る。

 利用者アンケートでは、有料化した場合1回いくらなら支払うかという設問に、使用料300円なら約5割、同500円では約3割、同700円では約2割5分の人が「確実に払う」と回答している。一方、「払わない」と回答した人は、同700円では約2割5分、同300円および500円では1割だった。「現状の健康相談のみでは実質的には徴収は難しいでしょう。専門性の高い相談であれば、相談料徴収の可能性もあると考えます」(小笠原氏)。北大保健科学研究院は、あくまでもインキュベーターという立場だが、どのような運営組織によるビジネスモデルが成り立つか探っていく必要があると認識している。

 有力なモデルの1つが、特定保健指導の枠組みの中に遠隔健康相談を組み入れるケースだという。「実際に、ある健康保健組合から具体的な相談も受けており、実施モデルの構築に向けて検討しています。その他にも、スポーツクラブや温泉施設などの一部に組み込むこといったことも考えられます。北海道内のある町立病院の先生から、町内にある温泉施設に健康相談ブースを置いたらどうかという話もいただいています」(小笠原氏)と、さまざまな実施・運営モデルを模索している。

 一方、医療者の地域偏在を解消する1つの方法として、出産・育児で離職した看護師や保健師の有効活用として遠隔健康相談システムに組み込むことも考えている。現在、相談員側はヘルスサポートセンターに常駐する形式。しかしシステム上は、IPコールセンター方式を採用して、在宅の相談員にインターネットを介して相談者を振り分けることは可能である。これが実現すれば、相談員は自宅で相談業務を実施できる。ただしそうしたモデルでは当然相談員の報酬が必要になるので、やはり収益を確保できるビジネスモデルが重要となろう。

 最後に小笠原氏は、「今回の実証実験を通して、ツルハドラッグ、地域住民、シスコシステムズのそれぞれがWin-Winの関係になることが大切。どのようなビジネスモデルでも、継続的な運用をしていくためには、関係者がお互いにメリットを享受できる仕組みが必要です」と結んだ。

(増田克善=日経メディカルオンライン委嘱ライター)


■実証実験実施者概要
名称:北海道大学 大学院保健科学研究院
所在地:北海道札幌市北区北12条西5丁目(北海道大学内)
設置年:2008年4月1日
北海道大学における第17番目の大学院組織として設置。医学部保健学科や看護学部などを卒業した医療専門職者(看護師、保健師、助産師、診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士など)を主な入学対象者とする研究教育組織。
Webサイト:http://www.hs.hokudai.ac.jp/

名称:株式会社ツルハ
本社所在地:北海道札幌市東区北24条東20丁目1番21号
設立:1975年5月
ツルハホールディングス傘下のグループ会社とともに全国930店舗(うち調剤薬局は208店舗)、北海道では354店舗(調剤55店舗)を展開。
Webサイト:http://www.tsuruha.co.jp/
導入システム:シスコシステムズ 「Cisco HealthPresence」