昨年10月に大阪産業創造館(大阪市中央区)で開催された医療・介護・リハビリ・ヘルスケアに関する展示商談会「メディカル・ヘルスケアテクノロジーフォーラム2011」では、いくつか講演も行われた。
まず、「積水ハウスの戦略と健康への取り組み~住宅×IT、RT(次世代ロボット技術)による健康環境づくり~」と題して、同グループの幹部が講演した。
まず、同社の取締役常務執行役員 伊久哲夫氏が、これまでの同社の住宅開発の歴史と推移について解説。住宅の質という面では、1960年代から、「安全・安心」「健康・快適」をテーマにしてきたが、「80年代から「生活の豊かさ」が加わり、21世紀に入った頃から「環境・社会価値」が重視されるようになってきた」と語った。
続いて、同社総合住宅研究所部長の中村孝之氏が、より具体的な開発例や構想について述べた。同社では「スマートハウス」を提唱しており、ITなどの技術を活用した暮らしやすく環境に優しい住宅の開発を目指している。
具体的には、
(1)センサリングやモニタリング技術の活用:温度センサーとトップライトを利用したパッシブ換気、人感・温度センサーによる床暖房・サーキュレーションシステム制御、照度センサーを利用した証明制御など。
(2)電気自動車を利用した住宅への電力供給システム:日産自動車のリーフという車種をベースに構想中。
(3)ITを利用した生活情報の獲得:パネルによる設備機器のコントロール、消費エネルギーの見える化、生活便利情報、コミュニティ情報など。
また、同研究所が他団体と共同で進めている「健康コミュニケーションRTによる高齢者の在宅住宅管理・支援システムの開発」プロジェクトについても言及した。これは計測機能とコミュニケーション機能を組み合わせて、単身高齢者の見守りをするソリューション。体重計や体温計、血圧計、マイクなどを組み込んだ老人用チェアや、心拍・呼吸・体動などのセンサーを埋め込んだベッドなどを紹介した。さらに、脳活動計測装置を用いて脳の情報を集積・解読することで、住宅設備や介護ロボットなどを操作するBMIネットワーク研究についても、大まかに説明した。
このほかの講演では、前 経済産業省 医療・福祉機器産業室長の竹上嗣郎氏(現 東北大学教授、未来科学技術共同研究センター副センター長)が、医工連携に関する政府の動きと東北大学が手がけている先進事例について講演した。講演の中で、医療機器に関して大幅な入超が続いていることを指摘。「規制はあるものの、価格が安定しており、好不況の波にそれほど左右されない」とメリットも挙げ、企業の奮起を促した。