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麻布医院 院長 高橋弘氏
麻布医院 院長 高橋弘氏
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習志野台整形外科内科 院長 宮川一郎氏
習志野台整形外科内科 院長 宮川一郎氏
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藤原ENTクリニック 院長 藤原久郎氏
藤原ENTクリニック 院長 藤原久郎氏
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 これまで同氏は、iPadを使ってさまざまな取り組みを行ってきた。まずはクリニックの受付にiPadを複数台設置し、整形外科という診療科の紹介や病気の説明を動画で流した。オンデマンドのデジタルサイネージである。当初、利用者は子供たちが中心だったが、最近では年配者もアクセスするようになってきたという。

 2つめは、問診票のアプリ化である。今までは紙の問診票で患者から取得した情報をデジタル化するのに苦労していたが、患者自身にiPadのタッチパネルで入力してもらうことで簡単にデジタル化が実現。電子カルテに取り込んだり、データ分析のためにテキスト保存したり、画面をそのままPDFとして保存したりと、さまざまな面で利便性が高まった。「アプリ化は、現在紙で運用している他の評価票にも応用可能だ」と宮川氏は語る。

 3つめは、患者に対して病状や治療方法を動画で分かりやすく説明するもの。そのためのソフトウエアとして、同氏はOsiriXというオープンソースのPACS ビューワーを活用している。言葉や二次元の絵で説明するのに比べて、「わかりやすくて、見やすくて、手術などに対する患者の不安も、多少なりとも取り除けると思う」(宮川氏)。そのほか、iPadに標準で搭載されている地図アプリやWebブラウザも、患者と情報を共有するのに有効だという。

 iPadは、患者との距離を縮めるのにも役立つという。これまでPCを基点に90度の角度で患者と対峙していたのに比べて、iPadなら肩を並べて画面を見られるからだ。「単に病気を発見して治療するだけではなく、患者にきちんと説明していくこともわれわれ医師の重要な仕事の一つ。それもただ説明するだけではだめで、これからは理解してもらう方法に心をくだく必要がある」と宮川氏は指摘する。

電子カルテは必須、患者と向き合うためクラークを活用

 3つめの事例は、長崎・藤原ENTクリニック 院長 藤原久郎氏から発表された。同院は20年の歴史を持つ耳鼻咽喉科の診療所で(11月19日に一時的に閉院)、電子カルテシステムは10年の導入実績があり、その間1度ベンダーを変更するリプレースを行っている。

 藤原氏自身は、現状の電子カルテシステムに対して、高い評価を与えていないようだ。それは現在の電子カルテシステムが、厳格な真正性や一画面一カルテという規範にしばられていること、内科から端を発しているために耳鼻咽喉科の要望がうまく盛り込まれていないこと、医師の負担が大きいこと、などを理由として挙げた。

 しかし、いったん入れたら紙の時代には戻れず、10年間電子カルテシステムと格闘してきた。そうした中で、藤原氏が見出した現実解は、メモカルテという形で紙の運用を少し残し、同時に電子カルテ入力をメディカルクラークにサポートしてもらう方法だった。

 「電子カルテの導入でこれに神経が行ってしまうあまり、『先生は私の話をよく聞いてくれなくなった』というクレームが出てしまった。一方、メディカルクラークは診断書作成代行や医療事務を担当していたが、そのような仕事だけではモチベーションが上がらず、勉強もしない。そこで、電子カルテ入力を手伝ってもらうことを考えた」(藤原氏)。

 実践した結果、同氏は再び患者に向きあえるようになったという。優秀なメディカルクラークは、病気だけでなく患者の精神状態や家族環境などにまで配慮し、その情報をクリニック全体で共有するように努めたので、院全体のモチベーションが向上した。講演のあと、同氏が診察する際にクラークが電子カルテ入力サポートをするデモが行われた。患者の言葉からキーワードを抽出して的確に記録していく様子は非常にスムーズで、電子カルテを活用する方策の一つとして有効だと感じた。